top 本と展示展覧会ピックアップ海辺に漂着し、打ち棄てられたものたちのラストポートレート、内倉真一郎「忘却の海」が京都PURPLEで開催

海辺に漂着し、打ち棄てられたものたちのラストポートレート、内倉真一郎「忘却の海」が京都PURPLEで開催

2023/10/12

内倉真一郎「忘却の海」 ©Shinichiro Uchikura

 
写真集の出版を記念し、京都PURPLEで内倉真一郎による個展「忘却の海」が開催される。
 
地元 宮崎の海岸を歩き、そこに打ち棄てられたものたちを掬い上げ、白い布上にひとつひとつ繊細に組み合わせ撮影された「忘却の海」。この声なき声を聞くような内倉の営みは、社会を映し出し、万物が負う時間を描き出す。

 

私は宮崎県に住み制作をしている。どこを見渡しても海に囲まれた町だ。行政やボランティアの清掃の手が行き渡った海水浴場には、美しいビーチが続く。しかしそこから少し離れた海には、正反対の世界が広がっている。漂着物や不法投棄物が打ち棄てられて忘れ去られ、誰も立ち入ることさえなくなった、現代社会のありのままの海辺の姿。

ゴミと化した色鮮やかさが虚しいプラスチック、手袋、おもちゃ、魚や鳥などの死骸。遠く離れた場所から時間の波にもまれ、太陽光で干からび新たな姿に変容していくものたち。現世のものとは思えぬ異様な感覚をも想起させる、人間がかつて関わっていた痕跡。
 
私は夢中で、下ばかり見ながら、一つ一つの残骸を集める。打ち棄てられた物たちは私に語りかけるように感じる。誰かが作り、誰かの手元にあり、波とともに砂浜へ。そして私と出会う。このシリーズは、その最後の在りようを記録したラストポートレートだ。
 
内倉真一郎

 

■展覧会情報
内倉真一郎「忘却の海」
会期:2023年10月4日(水)~10月22日(日)
時間:13:00〜20:00(水・木・金) 11:00〜19:00(土・日)
休廊日:月曜日、火曜日
会場:PURPLE
住所:〒604-8261 京都市中京区式阿弥町122-1 式阿弥町ビル 3階

 

■プロフィール
内倉真一郎(うちくら・しんいちろう)
1981年、宮崎県生まれ。日本写真映像専門学校(大阪)卒業後独立し、現在は宮崎県にて活動。
主な個展に『忘却の海』(2023年、GALLERY NEUTRAL、京都 [KG+ pick up] /2022年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京/2022年、BLOOM GALLERY、大阪)、『浮遊の肖像』(2022年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京/2022年、BLOOM GALLERY、大阪)、『私の肖像』(2020年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京/BLOOM GALLERY、大阪)、『十一月の星』(2018年、EMON PHOTO GALLERY、東京)、『犬の戦士団』・『十一月の星』(2018年、居藝廊G.GALLERY、台湾・台北)、『PORTRAIT』(2017年、BLOOM GALLERY、大阪)など

 
【関連リンク】
https://purple-purple.com/exhibition/uchikura-2023/?utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=PURPLE_news_letter_September2%2c2023&utm_medium=email

展覧会概要

出展者 内倉真一郎
会期 2023年10月4日(水)~10月22日(日)
会場名 PURPLE

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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