清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、2023年10月14日(土)から冬期休館をはさみ、2024年5月26日(日)まで「2023年度ヤング・ポートフォリオ」展を開催する。
ヤング・ポートフォリオ(YP)とは、K・MoPAが開館以来毎年開催している、世界の35歳までの青年の作品を公募・購入・展示する文化活動である。本展では、世界36カ国、335人、6,973点の応募作品から厳選された、22人による101点を展示する。
■モノクロームの作品が目立った2023年
2023年度は特にモノクロ作品の多さが特徴的だった。この状況について野口選考委員は「作家たちは、誰でも気軽に撮れる環境の中で戦っている。携帯で撮れる写真とは違うもの、自分ならではの作品を作るなかで、モノクロを選択しているのでは」とその印象を語った。“生まれた時からデジタル“の世代が、作品の世界観を際立たせるため、手間がかかる技法であってもモノクロ表現に新鮮さとその魅力を感じているのかもしれない。
■ウクライナの写真
オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)、ロジオン・プロホレンコ(1996) チョイストーツィンは、ウクライナ・ハルキウ出身で、2022年YPでも作品が収蔵となった作家だ。ロシアの侵攻が始まり、空爆されたハルキウを2022年2月24日に離れ、応募作品は周辺国に住む友人たちの手を経て日本へ送られた。現在は再びハルキウに戻り制作活動を続けている。作品タイトルの《ヴェルテップ》とは、ウクライナ特有の移動式人形劇場の名称で、その語源はキリストが誕生したベツレヘムの洞窟を意味する。作品は、ウクライナ東部前線地区で宗教的・民族的公演を続けるアーティストたちと共に旅をしながら撮影したシリーズ。
プロホレンコは、ウクライナ・ドネツク州に生まれ、美術や映像を学んだ後、主にアナログ技法を用いる写真家となった。現在は、ドンバス地域の前線近くで戦争写真家として活動している。長引く侵攻のなかで、写真家たちの眼差しは、これまで以上に深く人間の存在に関わる記憶、歴史、個人、社会へと向けられている。そして、今回は、夢無子が昨年日本からウクライナを訪れ、制作した〈ウクライナの窓〉シリーズも購入となった。かつて日常生活があった部屋の窓の内側と外側、破壊された光景と鮮やかな色が印象的な作品だ。
■2023年度ヤング・ポートフォリオ(第29回)データ
選考委員:今 道子、野口里佳、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長、特別選考委員)
作品募集期間:2023年1月15日〜2月15日
応募者数:335人(世界36カ国より)応募点数:6,973点
購入者数:22人(国内11人・海外11人 /11カ国)
〈日本/中国/韓国/フィリピン/ニュージーランド/イギリス/ドイツ/スペイン/ノルウェー/ウクライナ/アメリカ〉購入点数:101点(全作品を展示)
- ■展覧会情報
「2023年度ヤング・ポートフォリオ」展
会期:2023年10月14日(土)~2024年5月26日(日)
時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休廊日:火曜日
会場:清里フォトアートミュージアム
住所:〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
【関連リンク】
https://www.kmopa.com/---2014wordpress/wp-content/uploads/PRESS-RELEASE-統合_compressed.pdf
https://www.kmopa.com/「2023年度ヤング・ポートフォリオ」展(予定)/
会期 | 2023年10月14日(土)~2024年5月26日(日) |
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会場名 | 清里フォトアートミュージアム |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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