top 本と展示展覧会ピックアップ𠮷田多麻希 「Brave New World」「葬斂 SO-REN」 が2会場で同時展示

𠮷田多麻希 「Brave New World」「葬斂 SO-REN」 が2会場で同時展示

2023/09/08

𠮷田多麻希による作品展が2023年9月2日(土)より2会場で同時展示される。「葬斂 SO-REN」は東京台東区の229Galleryにて、「Brave New World」は東京・麹町の東條會舘写真研究所にて行われる。
 
■写真展「葬斂(SO-REN)」
𠮷田は数々の広告や雑誌の写真を手掛けながら、「生き物」が持つエネルギーに大きな関心を寄せてきた作家だ。
本展示では、ある一頭の駆除された熊をめぐって、私たちと動物の繋がりが問いただされる。
 
長い歴史をもちながらも、現代では大きく変容しつつある、人間と生き物たちの共生関係。
社会においてその関係は、食べる/食べられる、飼う/飼われる、愛でる/愛でられるなど、さまざまな仕方で規定されている。

 

これらの諸々の結びつきの只中で、動物が「生きる」とはいかなることなのか。
あの一頭の熊が、たしかに生ける一つの魂であったこと、その証左を残すために𠮷田は「弔い」を立ち上げる。
 

■作家ステートメント
2022年初夏、その熊は設置された捕獲用の檻に入り駆除され、一部の部位以外の残滓はゴミとして、破棄された。
 
その一報が届いた時、どうにもできない感情が一気に駆け巡った感覚は今でも残っている。
古くから熊と生きる地域には、様々な形で熊を弔い讃える儀式が存在し、この熊が生きた地域でも、仕留めた熊の頭骨を並べ弔う儀式が行われていた遺跡が残っている。
 
あるきっかけから調査を始めたこの1頭の羆にわたしは没頭し夢中になった。
 
そして、いつしか、人間とその熊との中立な立ち位置を保つことが難しくなっていった。
人間と生き物の関係を語る際、出来ればどちらの側にも立たない様にしたいと常に意識している。
 
しかし、その思いと裏腹に、これほど強い思い入れを抱き、その死に悲しみを感じたこの熊と、人の世の流れに飲み込まれ消えていった多くの熊が、このままゴミとして人々の意識と記憶から消え去らない様に、私なりの弔いで送りたいと思う。

 

■展覧会情報

𠮷田多麻希「葬斂(SO-REN)」

会期:2023年9月2日(土)~10月9日(月)

時間:12:00~20:00

休廊日:火曜日

会場:229Gallery

住所:〒110-0016 東京都台東区台東4-24-2 B1F

 


 
■写真展「Brave New World」
東條會舘が主催するはじめての展覧会として、𠮷田多麻希による写真展 「Brave New World」を開催する。
 
𠮷田は近年、フィルム現像作業の失敗をヒントに、日常で使用する洗剤や歯磨き粉などの薬品をフィルム現像時に混ぜるというユニークな手法を用いながら、野生の獣たちを被写体として、人と自然・生物の関係を問い続ける作品を展開している。
 
今回の展示では、数多くのポートレート写真を生み出してきた東條會舘写真研究所の暗室と、銀塩写真の制作に不可欠な水を調整していた地下室の2つの空間で、儚くも勇ましい獣たちが、その姿を露にし、語りかけてくる。
 

■作家ステートメント
ある日、フィルム現像に失敗した私は落胆と共に大きな衝撃を受けた。ネガフィルムに大きくできた現像ムラが、そのネガに写る野生の鹿を侵食する脅威に見えたからだ。それはまさしく、私たちが自然に対して行っている行為そのものだった。

 

■展覧会情報
𠮷田多麻希 「Brave New World」
会期:2023年9月2日(土)~10月9日(月)

時間:13:00~19:00

休廊日:月、火曜日

会場:東條會舘写真研究所

住所:〒102-0083 東京都千代田区麹町1-6-12 5階/地下1階

※水・木・金曜日は予約制(予約は前日の17:00まで)

※予約先:Instagram(@tojo_kaikan_photo_lab) 宛にDM
 
■プロフィール
𠮷田多麻希(よしだ・たまき)
神戸市生まれ。現在、東京を拠点に活動。幼少期の影響で生き物好きに育ったこともあり、日々移り行く世の中や、流行りと共に忘れられる自然や生き物の姿を気にかけるようになる。
身近な生物や自然の持つエネルギーを、サーモグラフィーカメラを使用して可視化させる作品〈Sympathetic Resonance〉を2018年に制作し、同作品で2019年「キヤノン写真新世紀」優秀賞を受賞。〈Negative Ecology〉 で「KG+ SELECT 2021」グランプリを受賞。同作で、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022 「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」展に参加し、この展示が第47回木村伊兵衛写真賞にノミネートされた。現在は、北海道で起きているヒグマと人間の接触事故を元に、生き物を通して人の営みを考える新作に着手している。
 
【関連リンク】
https://www.instagram.com/tojo_kaikan_photo_lab/
https://www.instagram.com/229.4242/

展覧会概要

出展者 𠮷田多麻希
会期 2023年9月2日(土)~10月9日(月)
会場名 229gallery

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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