キヤノンによる【日本再発見プロジェクト】の第一弾として企画された『ISLAND HOPPING』は、立木義浩が沖縄県の八重山諸島を中心に撮影した作品集でる。【日本再発見プロジェクト】と銘打った企画のこけら落としとして相応しいものになっている。
立木義浩と言う写真家について、いまさら説明する必要もないぐらいの有名人だが、一応簡単なプロフィールを記載する。1937年徳島県の写真館に生まれた生粋の写真人だ。広告会社アドセンター設立時にカメラマンとして参加。1969年に独立すると、広告分野でめざましい活躍をして、芸能人のポートレートなど業績を残し、広告分野でその名を知らしめた。
1965年『カメラ毎日』で「舌出し天使」を発表。56ページを使って特集された本作は編集者であった山岸章二の英断によって実現し、大きな反響を得て、写真家としての立木義浩の評価を決定的なものとした。ちなみに「舌出し天使」は構成が和田誠、寺山修司が詩を提供し、草森紳一が解説を担当した。
伝説的な作品からすでに58年が経つが、立木はいまも現役として写真を撮り続けている。沖縄でまとめた本作だが、かつての琉球王国の歴史を意識しながら、八重山諸島を撮り下ろした。海に囲まれた悠久の自然、ここに生きる人を見つめるポートレートと、一見シンプルな写真に見えるが、反応する瑞々しさとそれを支える熟練の撮影技術でもって本作は作りあげられている。
「場」が主役の写真が撮れないものかと考えつつ、とあとがきに書いてあるが、ここにはまぎれもない「場」が写されている。沖縄諸島はこれまでも多くの写真家たちによって撮影されてきたが、これほど品にあふれた沖縄諸島の写真は、他にないのではないだろうか。
- 立木義浩『ISLAND HOPPING』
- 仕様:W207×H186mm、全168ページ、ハードカバー
- 価格:3,000円(税込)
【関連リンク】
https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/article/saihakken/
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