JCIIフォトサロンでは、2023年7月4日(火)から30日(日)まで、伊奈英次作品展「国の鎮め―ヤスクニ―」を開催する。
伊奈氏は、都市、環境、歴史などを切り口に日本の近現代をテーマにした作品が国内外で高く評価されている写真作家だ。本展では、靖国神社とそこに集う人々をとらえたシリーズより、1992年から2006年の間に撮影された58点(すべてモノクロ)を展示する。
1989年の昭和天皇崩御の際に皇居前広場で見た右翼の人々に興味をもった伊奈氏は、同年の終戦記念日に初めて靖国神社に足を運んだ。1869(明治2)年に戊辰戦争の官軍側戦没者を慰霊する招魂社として創建され、1879(明治12)年に靖国神社と名を改めて戦没者の慰霊と顕彰を司るようになった同社は、常に戦争の歴史とともにある。
そこに集っていたのは、神風特別攻撃隊の生存者、戦友会の集団、昭和天皇崇敬会の方々、異議申し立てのパフォーマンスをする青年、軍服でコスプレする若者、多数の警察官、マスコミ関係者などさまざまだった。戦争体験の有無や参拝者の思い、そして、戦没者のために遺族が奉納した花嫁人形や燈籠基壇に掘られたレリーフなど、靖国神社で個々が放つエネルギーは強く、伊奈氏は「日本とは、国家とはなにか」という思いとともにこの磁場の様相を写しとめてきた。現在の中に過去と未来を見つめる、伊奈氏ならではの作品群だ。
展示に合わせて、7月22日(土)に静岡県立美術館館長の木下直之さんとのトークイベント“「YASUKUNI」をめぐって”を開催する(※要予約)。
- 【プロフィール】
伊奈 英次 (いな えいじ)
1957年4月3日、愛知県名古屋市生まれ。
1977年、中部工業大学工業物理科中退。
1984年、東京綜合写真専門学校研究科を卒業。
以降、フリーランスの写真家として日本の近現代をテーマに作品を制作・発表。
傍ら、1989年より東京綜合写真専門学校にて教鞭をとり、2012年より同校校長を務めて現在に至る。
[受賞]
1988年 第4回写真の町東川賞 新人作家賞
1998年 レオポルド・ゴドフスキー・ジュニア カラー写真賞 2席入賞(アメリカ)
2009年 2009フォトシティさがみはら さがみはら写真賞
2009年 カッセルフォトブックアワード2009(ドイツ)
[主な個展]
1984年「In Tokyo」ZEIT – FOTO SALON(東京)、1995年「WASTE」かねこ・あーとギャラリー(東京)、 2008年「EMPERORS」ZEIT – FOTO SALON(東京)/「IN TOKYO+EMPEROR OF JAPAN」ギャラリー・アートアンリミテッド(東京)、2020年「残滓の結晶」Canon ギャラリーS(東京)、2021年「天皇陵」JCIIフォトサロン(東京)
[主な写真集]
『WASTE』(伊奈英次、1995年)、『WASTE』(Nazraeli Press、1998年[英文])、『Emperor of Japan』(Nazraeli Press、2008年[英文])、『Wacht』(Nazraeli Press、2010年[英文])、小原誠之 文/萩原誠 構成『The Door into North Helsinki』(Petit Grand Publishing, Inc.、2011年)、福田幹 編/コンスタンティン・カタストロフ訳『YASUKUNI』(Far East Publishing、2015年)
■展示情報
展示名:伊奈英次作品展「国の鎮め ―ヤスクニ―」
会場:JCIIフォトサロン
住所:東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
開催期間:2023年7月4日(火)~7月30日(日)
展示点数:58点(全てモノクロ)
開館時間:10:00~17:00
休館日:毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)
入館料:無料
【関連リンク】
https://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/2023/05/22/33356/
出展者 | 伊奈英次 |
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会期 | 2023年7月4日(火)~7月30日(日) |
会場名 | JCIIフォトサロン |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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