top コラム推すぜ!オリンパス第19回 1975年発売、世界初となるTTLダイレクト測光を搭載した!「オリンパスOM-2」

推すぜ!オリンパス

第19回 1975年発売、世界初となるTTLダイレクト測光を搭載した!「オリンパスOM-2」

2024/03/22
赤城耕一

試作品のOMズイコー18mmF3.5を装着したOM-2です。キレイなカメラでありますね。前から見るとOM-1と見分けがつきづらいですが、フィルム巻き戻しクラッチのところに「OM-2」とあり、軍艦部のスイッチの上にも刻印あります。

 

順番ですからオリンパスOM-2の話をはじめようかと思います。昨晩、野球とサッカーを見ていて原稿かけませんでした。
 

まず最初に訂正です。連載のOM-1のシャッターダイヤルの低速側、1/60秒以下が水色になっているのは手ぶれの警告ではなくて、スピードライトの同調範囲を表していると複数の方からご指摘を受けましたのでそのように訂正します。でも手ぶれにも気をつけたほうがいいと思うけどね。
 

で、始めるにあたりお断りしておきますが、ウチには1975年登場のOM-2ではなくて、1979年にマイナーチェンジされたNew OM-2(表記はOM-2N)しかありませんでした。

 


オリンパスOM-2Nですね。うちの子です。シルバーボディもなかなかキレイだと思えるまで40年かかりました。

 

したがって、これを話のベースにしますが、もちろん初代OM-2も愛用していたことがあります。基本的な部分は同じなので、本体の部分写真などOM-2とOM-2Nが混在しているところがございます。
 

世界初、栄光の「TTLダイレクト測光」に対して、少しネガな部分の論考も出てきそうですが、現在も現役で使用中です。数は少ないと思いますが、実際にOM-2、OM-2Nを使用している読者の皆さんへのアドバイスという意味での話を主体として考えています。

 


OMズイコーレンズはあまり人気ないみたいですが、21~250mmまでF2の開放F値で揃えることができたりしましたね。強力なレンズシステムもOMの味方でした。

 

のちに1984年にOM-2 SPという兄弟機も出てきました。このカメラは同じOM-2といえど、少し方向性が違いますので、後ほどの連載にて個別に取り上げる予定です。
 

まず、OM-1とOM-2の外観上の違いってほとんどありませんよね。これはOM-1NとOM-2Nも同じ。OM-1とOM-1Nには存在するミラーアップのノブがありますが、OM-2とOM-2Nにはありません。

 

またOM-2登場以降はOM-1もそのまま改造、調整することなしにワインダーとモータードライブの装着を可能としています。MDのシールを省略したOM-1でもモータードライブ装着可能になったのではないかと。
 

OM-2には絞り優先AE機能が搭載されました。オリンパス35mm一眼レフでは初ですね。
 

AE一眼レフはすでに珍しいものではありませんが、メカニカル一眼レフのOM-1とほぼ同じデザインとサイズというのは、とても素晴らしいことであります。

 

うちの子のOM-2Nブラックです。ブラックの方が小さく見えるとかウソだと思います、もともと小さいのですわ。
 

当時のカメラ雑誌の論評では、OM-1とOM-2は同時に開発をスタートしていなければ同じサイズにはならないはずという意見をカメラ雑誌で読んだ記憶があります。AE化するには、電子基盤や測光の制御のために新たなパーツが増えるからですね。
 

たしかOM-1とOM-2が同じサイズであることを設計者の米谷さんインタビュー時にお尋ねした記憶があるのですが、たしか、うまいことはぐらかされてしまったような。なぜかな。このあたりは曖昧です。すみません。
 

でも今ふうにいえばUIをほとんど変えることなく、OM-2もOM-1と同じ位置にあるスイッチのポジションでマニュアルとオートを切り替えるのですから、あらかじめ考えられていたに違いありませんよね。

 

メインスイッチです。AEの時は水平に。マニュアル露出の時は垂直に。オフの時は斜めに。バッテリーチェックの時は上に押し上げます。下のランプが点灯すればバッテリーはOKということです。

 

電源オフ時はこのレバーは斜めになり、オート時は水平になります。この時に電源スイッチのレバーの白線と、フィルム感度設定ダイヤルの白が横に一直線になるのが基本であります。つまり、スイッチのレバーが斜めになったり、露光補正ダイヤルの線が斜めになっていれば、いまはOM-2はフツーの状態ではないぜ、ということを撮影者に知らせるわけですね。
 

ちなみに電源がオフの位置であってもある程度の明るさならオートで露光されます。この“ある程度” ってのがよくわからない(たぶんEV値としては正式に表記があるんでしょうけど、だれか教えてください)んですよ。

 


右のフィルム感度ダイヤルのところに露光補正表記があります。1/3刻みです。説明のために+1にセットしました。中央の線が斜めになっています。補正なしの状態では線は水平ですので、メインスイッチの線と横並びになります。OM-2Nのみ露光補正時にファインダー内に指標が出ます。
 

オリンパスは、オフで撮影しても現像してみてくださいね、なんて言い方を取り説で表記してあったと思うのですが。この話でいくとOM-2は電源オフ時にも、常に微弱な電流が流れていると考えいるようです。
 

そういえばOM-1にもシャッターのロック機能がなく、間違えてシャッター押したらどうするのさ、って指摘したカメラ雑誌のレビューがあったことを今になって思い出しました。このレビューワーにはロックがないことが手抜きにみえたようですね。
 

たしか米谷さんは1枚のコマを損するより、確実にシャッターチャンスを捉えたほうがいいのではないかと述べていました。
 

つまり、いざ撮ろうとした時にシャッターロックがかかっていて、あれれ、シャッターが切れなかったということは読者の方にも経験があるのではないかと。ただ、現在のようにフィルムが高価になりますと、ロックがないのは賛同しづらい部分もありますね、なんだかケチくさいですねえ、すみません。いずれにしろ、ここぞというときにはとりあえずシャッターを切りましょうって考え方がOMの共通した思想ではないかと思われます。
 

で、OM-2のAE に話を戻すのですが、まず、オート位置に設定して、フィルムを装填せずに空シャッターを切ってみると、多くの場合は、ファインダー内に示すシャッタースピードよりも長時間のシャッタースピードによる露光になります。
 

これこそがダイレクト測光であることの証明です。この理由はフィルムの黒い圧板の明るさを測光しているからです。それまでのAE機はファインダーの光学系内に受光素子を置いて、ミラーが上がる直前の測光値でAE制御されます。
 

ダイレクト測光はフィルム面の明るさを測り制御するのですから、黒い圧板を測光するとカメラは撮影する状況や被写体は黒いもの暗いと判断して、フィルムにより多くの光を与えるために露光時間が長くなるというわけであります。あたりまえの理屈ですが実直ですね。
 

たしか新品のOM-2にはグレーの小さな紙が同梱されていて、正常なAEの制御をあらかじめ確認したい場合は、この紙をアパーチャーに置けば、実際に制御されるシャッタースピードになります。この紙は標準反射率18パーセントのグレーでしょう。試し紙みたいなものですね。

 

OM-2の中古購入時など空シャッターを切ってチェックする時は、このことを覚えておいて損はなく。

 

OM-2とズイコー24mmのシフトレンズを装着した写真が出てきました。ボディよりもレンズが似合うなあ。

 

ただ、考えるにフィルムは種類によって、フィルム面の色が異なります。反射率も異なるはずなので、測光値に違いが出るんじゃないかと心配になります。
 

OM-2登場時のオリンパスのアナウンスでは、問題になるほどフィルムの種類で反射率の違いはないという回答だったと思います。ホントなのか? 『アサヒカメラ』のニューフエース診断室では実際のフィルム面の反射を測定して、このことにかみついてました。
 

筆者もその後にいろいろと調べたのですが、当時のコダクロームIIや25はフィルムの乳剤面の反射率が低いので、オリンパスはあえてISO(ASA)25のポジションだけ、露光量をチューニングしてあるみたいな話を読みました。
 

いやこの話はウラはとれていません。都市伝説です。でも最近は新しいフィルムの登場は見込み薄ですが、OM-2登場時は新しいフィルムも続々と登場していたはずですし、それらが、OM-2に適応する反射率になっているとは限りませんよね。これもオリンパスのアナウンスでは新しいフィルムが登場するたびに反射率を測定していて、当時の時点では影響はないとしていました。
 

ダイレクト測光とは、本来はレンズから入る直接光を測るという意味になりそうですが、OM-2の受光素子はフィルム面測るために内側を向いています。
 

繰り返しますが、レンズから入ってきた光を捉えたフィルム面の反射光を測光しています。だからこのダイレクト測光というのは違和感が少しあります。フィルム面に直接当たる光を測光して制御しますぜ、だから“ダイレクト” ということでいいんでしょうか。
 

たとえば長時間露光時間中に光の強さが変わっても、それを制御して適正露出にするというのがOM-2のウリでもあります。ミラーが上昇している状態でも測光は継続されているのです。
 

もっとも、シャッターが全開状態ではないとフィルム面での測光はできませんので、シャッター幕に乱数パターンと呼ばれる、いまのQRコードみたいな模様がシャッター幕に印刷されており、高輝度の条件では、受光素子はこの乱数パターンを測光しAEで制御することになります。
 

次回はダイレクト測光のメリットとデメリット、TTL自動調光、マニュアル測光時の話をします。

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