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トーテムポールフォトギャラリーで田 凱 「その日のための印 / Mark Up For The Day」が開催

2022/08/06

トーテムポールフォトギャラリーで田 凱 「その日のための印 / Mark Up For The Day」が8月2日から開催されている。

 

かれこれ2年も経っている。出張が急遽キャンセルになり、ルーティンの仕事も一時休むようになった。家に閉じ込まれるような日常の中、時間の存在そのものさえ忘れてしまうような不安気に襲われた。使わなくなったフィルムに嫌気性細菌を仕込んで、光線も空気も入らない箱に入れて寝かせた。日常の刺激を積み重ねてこそ、時間の経過は確認できるが、自宅が幽閉区間になり脳みそがゲル状になったとさえ思った。菌を培養させてフィルムにその痕跡を残させた、不穏な時に、私の無意識下で流れていく時間の欠片を集積してくれると期待する。2年余り経ったいま、事態を明けたとどなたでも明言しないが、もう緊急というそんな日々に縛られたくないだろうから、仕込んでいたフィルムを出す時期かもしれない。
出来上がったものは、腐蝕された区域とそうでない区域が、互いに溶け合い、浸透し合い、明確な輪郭もなく、相互に外在化していく何らかの傾向もない、数で表せることがなく質的な変化の連続で他ならない。測れない時間を物質へと変換する試みだ。まだ完結していない事実、むしろたえず変化されつつある運動の拡がりを表すために、質的な変化のつながりを用いようとした。この一定した時間を空間のなかへ投影し、外側が相互影響することなく連続線ないし連鎖という形態を執る。
では、私が計測したかった継起の時間はなんだろう。日常の刺激は、等質に感覚として捉えることはほとんどない。現在のありようと先行するありようを分離することを差し控える、または欠陥を補填しようとするその時、時間を意識してしまい、現実へ参加してしまう。意識は、現実を代わりの記号に置き換え、記号を通して現実を知る。このように翻訳させられ、繰り広げられる。一般社会で生活する私が、特に言語空間に適合するので、意識もその方を好み、少しずつ根底的私を見失っていく。2年余りという時間、自宅幽閉らしき事実を知って、以前のような日常に戻れることは大抵ないであろう。


 


【展示概要】
会期:2022年8月2日 (火) – 8月7日 (日)
時間:12:00 – 19:00
住所:東京都新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F
電話: 03-3341-9341
 
【写真家プロフィール】
田 凱(でん・がい)
1984年生まれ、2006年中国の大学を卒業後エンジニアとして来日。
2014年 日本写真芸術専門学校フォトクリティークゼミ卒業
2019年よりTOTEM POLE PHOTO GALLERY 参加

 

【関連リンク】

https://tppg.jp

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