©Norifumi INAGAKI
大阪のギャラリー・ソラリスにて、稲垣徳文 写真展「Blue Period」が開催される。ソラリスで稲垣の展覧会は4年ぶり、3回目の開催となる。
稲垣はこれまで、パリの街並みや写真発明者ニセフォール・ニエプスのアトリエなど、写真史の重要な場所を訪れ撮影してきた。本作では、ネガポジ法の発明者として知られるヘンリー・フォックス・タルボットの邸宅「Lacock Abbey」を中心とした「写真技術の生誕地」の作品を大型カメラで撮影し、19世紀の写真技法であるサイアノタイプでプリントしている。
サイアノタイプは、青写真とも呼ばれる鮮やかなブルーが特徴の古典写真技法。本展では同一のネガから「サイアノタイプ」と「鶏卵紙」の2種類のプリントを制作した作品など、約30点を展示する予定。また会期中には、作家本人によるサイアノタイプおよび鶏卵紙プリントの体験ワークショップも開催予定。
稲垣徳文
- 自然の鉛筆の「植物の葉」を見つけたのは昨年の春のこと。探しはじめて2年あまりそれは自宅近くの街路樹の根元に生えていた。早速、枝葉のひとつを持ち帰りフォトジェニックドローイングを始めた。
サイアノタイプのシンプルな青と白の造形。光の作用により物の形が紙の上に定着される過程には期待感と驚きがある。180年前、アナ・アトキンスが海藻の標本をプリントして以来、基本的な作法は変わらない。
白いシルエットに浮かぶ葉脈は幾何学模様のように美しい。
このプルシアンブルーの青は日本語では紺青と表記される。絵画の染料として北斎や広重の浮世絵にも用いられたことからEdo Blueとも表現される。
ゼラチンシルバープリントが発明される以前、サイアノタイプ は19世紀におけるポピュラーな写真技法のひとつだった。鶏卵紙に比べるとコントラストが高く、卵白やゼラチンなどの塗布層を持たないため用紙のテクスチャーそのままにプリントされる。
かつて写真の黎明期を生きた人々は爽やかな紺青のプリントを眺めていた。
あらためて大型カメラで撮影したパリの街並みやニセフォール・ニエプスのアトリエの風景をサイアノタイプにプリントした。
英国南西部のレイコックを訪れたのはそれから三ヶ月後の夏至の日。
ヘンリー・フォックス・タルボットが残した「植物の葉」は村を流れるエイボン川沿いに茂っていた。「植物の葉」は白い小さな花を咲かせる。
タルボットは比較的若い枝葉を選んでプリントしていたようだった。- ※ アナ・アトキンス:イギリスの植物学者。1842年にサイアノタイプを使った海藻の標本集を出版。のちに世界最初の写真集といわれる。
※「植物の葉」セリ科シャク属の多年草。和名「芍」シャク。英名「Wild Chervil」ユーラシア大陸東部からヨーロッパ東部まで広く分布する。山地の谷間から林の中など少し湿った場所に群生する。セリ科特有の香りがあり葉は色鮮やかな緑色。茎は直立し200cmほどに成長する。
- ■展覧会情報
- 稲垣徳文 写真展「Blue Period」
- 会期:2026年3月24日(火)~ 4月5日(日)
- 時間:12:00〜19:00(最終日は18:00まで)
- 会場:ギャラリー・ソラリス
- 休廊日:3月30日(月)
■プロフィール
稲垣徳文(いながき・のりふみ)
1970年、東京都生まれ。
法政大学社会学部卒業。在学中より宝田久人氏に師事。
朝日新聞社『AERA』嘱託カメラマンを経てフリー。
【関連リンク】
https://solaris-g.com/portfolio_page/260324/
| 出展者 | 稲垣徳文 |
|---|---|
| 会期 | 2026年3月24日(火)~ 4月5日(日) |
| 会場名 | ギャラリー・ソラリス |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。


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