©Keiko Sasaoka
東京新宿のphotographers’ galleryにて、笹岡啓子「Presence」が開催される。本展は、笹岡啓子写真集『Presence』(Little Big Man Books)の出版記念展となる。
笹岡啓子は、活動初期より20年以上にわたり、日本列島の海岸線と山の稜線を丹念に歩き、撮影を続けてきた。北海道・礼文島から沖縄・波照間島まで、土地ごとに異なる地勢や植生、気候、そして海、山、空が交わる瞬間を追い続けた連作の集成が本書『Presence』だ。
故郷・広島を撮影した〈Park City〉や、東日本大震災の被災地域をめぐった〈Remembrance〉など笹岡の代表作の背景には一貫して自然へのまなざしがある。本書が示すのは、観光的な風景写真や国土的な象徴とは異なる、写真家自身の身体の移動と再訪の積み重ねによって深まっていった、土地との応答の軌跡だ。
2001年の初個展における〈習作 landscape〉以来、「限界」「観光」「水域」「Cape」「Volcano」「Fishing」「Shoreline」とタイトルを変えながら、自身の経験や、天候・季節といった自然からの呼びかけに応じて訪れた場所の連なりによって構成されている。
笹岡啓子
- ——この時代の海と陸とを撮っている。
その海と陸、過去と未来の狭間に
私たちが立っていたことを記しておきたい。
広大な風景の中に点景として現れる人々の存在もまた、本書の重要な要素です。彼らは風景の装飾ではなく、写真家を海や山の臨界へといざなう先達であり、伴走者でもある。その背中を追うとき、視線は風景へとゆるやかに開かれ、読者もまたその場に立ち会うような感覚を覚えるだろう。
人為と自然が絶えず交錯し続ける列島において、笹岡の写真は、地勢のゆるやかな変容と季節の移ろいとともに刻まれていく人の営みの痕跡を掬い上げ、未来へと手渡していく行為にほかならない。『Presence』は、自然の奥行きと人の気配とが響き合う場所へと、私たちを静かに立ち返らせる一冊。
- ■展示概要
- 笹岡啓子「Presence」
- 会期:2025年12月17日(水)~12月30日(火)
- 時間:12:00〜20:00
- 会場:photographers’ gallery
- 展示内容:スライドプロジェクション
■写真集情報
笹岡啓子『Presence』
発売日:2025年12月
発行:Little Big Man Books
使用:A4判/スイス装/232頁/カラー166点収録
テキスト:カトリーヌ・グルー、倉石信乃
デザイン:ジャック・バーンサイド、BeGOOD Studios
和文組版:成瀬 慧
定価:8,000円+税

https://pg-web.net/shop/photo-books/keiko-sasaoka-presence/
【関連リンク】
https://pg-web.net/exhibition/keiko-sasaoka-presence/
| 出展者 | 笹岡啓子 |
|---|---|
| 会期 | 2025年12月17日(水)~12月30日(火) |
| 会場名 | photographers’gallery |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。


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