佐藤信太郎『都市の相貌』がふげん社より刊行された。
場所がもつ特有の雰囲気「地霊(ゲニウス・ロキ)」をテーマに、都市に累積する歴史的なレイヤーと人の営みを写真で捉える写真家、佐藤信太郎。
本書は、1990年から2025年の最新作までの、佐藤の全キャリアをカバーする8シリーズを収録した一冊だ。
天空でも路上でもない非常階段という中間の眼差しで夕暮れ時に東京を撮影した『非常階段東京』(2009年日本写真協会賞新人賞受賞)や、東京スカイツリーの建設を多点観測した『東京|天空樹』(2012年林忠彦賞受賞)などの代表作はもちろん、専門学校在学中に制作した作品「平面都市」(1990)や、強い順光で昼間の街の姿を捉えた「街景」(1999〜2002)、出版物としての発表が初めてとなる最新作「Boundaries」(2019〜)などの未発表作も収録されている。
佐藤作品はその時代の最新技術を駆使しながら、被写体やテーマによって最適な方法論を選び取り、ストレートフォトからデジタルコラージュまで、その表現は自由自在に変化してきました。写真評論家の上野修は、写真集のために執筆された文章でその佐藤の営為を「工作者」と評している。
町口覚による造本設計により、都市のダイナミズムと作家の幅広い写真表現を一度にご覧いただける瀟洒な1冊として纏まった。
昼と夜、具体と抽象、見えるものと見えないものを行き来しながら、「都市の相貌」を捉えようと歩んできた作家の35年間の軌跡が一覧できる。
■プロフィール
佐藤信太郎(さとう・しんたろう)
1969年東京生まれ。1992年、東京綜合写真専門学校卒業。1995年に早稲田大学第一文学部を卒業後、共同通信社に入社。2002年よりフリーの写真家として活動を始める。東京を中心とした都市を多層的かつ多角的にとらえるため、作品は抽象的なイメージからストレートフォト、デジタル加工を施したものまで幅広い。その多くは、土地そのものの性質や記憶、人々がそれらに影響されながら街を形成してきた歴史の中から立ち上がる特有の雰囲気、すなわち地霊(genius loci)に惹かれて制作されている。主な写真集に『都市の相貌 City Portraits』『Geography』(ふげん社)、『非常階段東京』『東京|天空樹』『夜光』(青幻舎)がある。受賞歴に、2012年林忠彦賞、2009年日本写真協会賞新人賞、2008年千葉市芸術文化新人賞。
佐藤信太郎『都市の相貌』
発行日:2025年11月16日
発行所:ふげん社
寄稿:上野 修
造本:町口 覚
仕様:A4変型、208ページ、写真点数176点
定価:11,000円(税込)
【関連リンク】
https://fugensha-shop.stores.jp/items/6916e5e3849bba20be706a25


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