株式会社焦点工房は、2025年9月1日付で写真・映像レンズブランド「Thypoch(タイポック)」の日本国内正規代理店契約を締結した。同ブランド製品の販売およびサポートを開始することとなった。
■Thypoch(タイポック)について
Thypochは、2023年に中国深センのシネレンズ専門メーカーのニューブランドとして登場した。ブランド名は古英語で、”thy”は「あなたの」、”epoch”は「時代」を意味し、あなたの時代に寄り添うという願いを込めて“Thypoch(タイポック)”と名付けられた。
往年のレンジファインダー期の精巧な機械設計と、現代の光学技術を融合したプロダクトを開発しており、また、シネマレンズで知られる「DZOFILM」と密接な関係を持つグループブランドであり、そのノウハウを受け継いだ設計が大きな特徴だ。
■ラインアップ
Thypoch(タイポック)は、クラシカルな機構美と現代の光学技術を融合させた独自のレンズづくりで注目を集めるブランドだ。レンズの描写や操作性をライカMシリーズに合わせた設計を特徴とし、レンジファインダー用カメラにおける距離計連動機構にも対応。写真用の「Simera」「Eureka」シリーズに加え、超小型・軽量設計のフルフレーム対応シネマ単焦点シリーズ「Simera-C」を展開している。
▼Simera(シメラ)シリーズ
21mm / 28mm / 35mm / 50mm / 75mm f/1.4(各種マウント展開)クラシックな外観に、14~16枚羽根による美しい円形ボケや独自の被写界深度表示ギミックを備え、スチル・動画双方の操作性にも配慮したシリーズ。
▼Eureka(エウレカ)シリーズ
50mm f/2(沈胴式)ヴィンテージの描写美を現代に蘇らせるコンセプトの新コレクション。携行性に優れた沈胴構造とクラシカルな機構表現が特長。
▼Simera-C(シメラ・シー)シリーズ(シネマ用レンズ)
21mm / 28mm / 35mm / 50mm / 75mm(フルフレーム対応・超小型軽量)コンパクトな筐体にT1.5の大口径設計を収めたシネマ単焦点シリーズです。シネマレンズブランド「DZOFILM」の開発で培われた知見を活かしつつ、スチル版「Simera」の思想を継承している。
■国内での販売・サポート体制
焦点工房は、Thypoch(タイポック)製品を、日本国内のカメラ量販店、カメラ専門店および焦点工房の直販チャネルにて、順次販売を開始する。製品保証やメンテナンスについては、焦点工房の基準に基づき、国内サポートを提供する。
■Thypoch(タイポック)の技術 ――精密な技術、究極の描写――
- ▼高精度な非球面加工
非球面レンズ(ASPH.)は、Thypochのレンズ設計における中心的な要素の一つ。精密な研磨・ポリッシング技術によって製造され、球面収差や歪曲を効果的に抑制する。大口径開放時や高コントラスト環境下でも一貫して高いシャープネスを維持し、優れた描写性能を発揮・クリーンで純粋なボケ表現を実現。加えて、12〜16枚の絞り羽根が円形を保ち、柔らかな光の点や美しい光条効果を生み出し、高い芸術性を表現する。
▼革新と芸術の融合
Thypochの光学設計は、単なる技術の集合ではなく映像芸術への飽くなき探求だ。非球面・低分散・高屈折率レンズの採用により、自然で繊細な色彩と階調表現を可能にし、インスピレーションに満ちた映像を捉える。
▼FLE (Floating Lens Elements)
一部のThypochレンズはフローティングレンズ群(FLE)設計を採用している。ピント合わせの過程で、レンズ内部のフローティングレンズが異なる焦点距離での収差や歪曲を効果的に補正し、シャープな描写を実現する。
▼受け継がれる光学遺産、シネマグレードの精密さ
Thypochは、東正光学(DZOptics)が培った産業用レンズ研究開発のバックグラウンドに加え、シネマレンズブランド「DZOFILM」で築いた光学精度のレガシーを継承している。最先端のマシンビジョンおよび光学測定技術を保有しており、NASA向け高精度VRレンズの開発や、世界的な半導体メーカーへの技術サポートなどのを提供をおこなってきた。
▼すべての偉大なクラシックへの敬意
Thypochは外観デザインにおいても細部にこだわり、赤点に合わせた自動被写界深度スケール、クリック切替式の絞りリング、レトロなレンズフード、鏡筒の隠し文字などクラシックな要素を巧みに取り入れている。これらの精巧なディテールはレンズ美学への深い理解を示すとともに、光と影を通じて創造性とインスピレーションを刺激する。
■製品の歩み
2013 東正光学が深圳宝安で設立。中国初の1.75インチテレセントリックレンズを発表。
2014 マシンビジョンレンズブランド DZOPTICS® を設立。
2015 工場の敷地面積を 1,000㎡ に拡大。
2016 AOI顧客向けに産業用レンズのカスタマイズソリューションを提供。
2017 中国初のM4/3オートフォーカスレンズを発表/初の特許取得/産業用レンズ規格(CMVU)の起草を主導。
2018 F1.2フルサイズ35mm一眼レフレンズを自主開発/KERLEE設立/工場を2,500㎡に拡張/ハイテク企業認定を取得。
2019 映画用レンズブランド DZOFILM を設立。
2020 世界初の16K 5µ 6.2× レンズを自主開発。
2023 Thypoch を設立。Simera 28mm F1.4/35mm F1.4 を発表。
2024 Eureka 50mm、Simera 50mm、Simera-C T1.5 を発表。DZOPTICSのVRレンズがNASAの宇宙撮影プロジェクトに採用。
2025 & Beyond
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