スクリプカリウ落合安奈《ひ か り の う つ わ》2025 年 作家蔵
©Ana Scripcariu-Ochiai
東京都写真美術館 3階展示室で、総合開館30周年記念「遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22」展が開催される。
東京都写真美術館では、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘するとともに、新たな創造活動を紹介することを目的として、2002年より継続的に「日本の新進作家」展を開催している。
第22回となる本展では、人と時代の流れ、場所、風習といった物事との結びつきから生まれる小さな物語に焦点をあてた5名の新進作家の作品を紹介する。今日、多様性の尊重やインクルーシブな社会が求められている。異なる価値観を持つ人々とのコミュニケーションや共に生きることの想像力が重要になっている。
街を歩くなかで、ふと窓に目が留まり、そこに暮らす誰かの気配を感じ、そこに紡がれているであろう生活を想像した経験もあるだろう。窓は、今ここにいる私たちを、まるで遠く離れた世界へと導いてくれる装置のようだ。窓から垣間見える暮らしを想像するように、作品もまた、私たちの知らない風景や物語へと思いをめぐらせるきっかけを与えてくれる。
5名の作家が表現する写真・映像作品との出会いが、遠い窓へ思いをはせるような距離感で、誰かや何かに寄り添う手がかりとなるだろう
■出品作家(予定)
・寺田健人
・スクリプカリウ落合安奈
・甫木元空
・岡 ともみ
・呉夏枝
- ■展覧会情報
総合開館30周年記念「遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22」展
会期:2025年9月30日(火)~2026年1月7日(水)
時間:10:00〜18:00(木曜・金曜は20:00まで)
休廊日:月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始
会場:東京都写真美術館 3階展示室
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
料金:一般 700(560)円/学生 560(440)円/高校生・65歳以上 350(280)円- ※( )は有料入場者20名以上の団体料金、当館映画鑑賞券提示者および各種会員割引料金。
- ※中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料。TOPMUSEUM PASSPORT 2025提示者は割引または無料(回数上限あり)。第3水曜日は65歳以上無料。
- ※学生、高校生・65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものを提示。
- ※各種割引の詳細は利用案内を参照。※各種割引の併用はできない。
■関連イベント
(1)出品作家とゲストによるトーク
①2025年10月19日(日)14:00〜15:30
スクリプカリウ落合安奈(出品作家)×岡ともみ(出品作家)×竹内万里子(批評家・作家、京都芸術 大学教授)
②2025年12月27日(土)14:00〜15:30
寺田健人(出品作家)×呉夏枝(出品作家)×鷲田めるろ(金沢21世紀美術館館長、東京藝術大学准 教授)
会場:東京都写真美術館1階ホール
定員:190名(整理番号順入場/自由席)
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布 ※両日とも文字表示支援あり
(2)出品作家 甫木元空による上映
2025年10月26日(日)
14:00〜《はだかのゆめ》アフタートーク付き(登壇:甫木元空(出品作家)、尹雄大(インタビュアー)
2025年11月22日(土)
10:30〜《BAUS》
13:30〜《はだかのゆめ》
15:00〜《BAUS》
2025年12月13日(土)
14:00〜《1991》作家による生演奏付き
会場:東京都写真美術館1階ホール
定員:190名(整理番号順入場/自由席)
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布。
(3)担当学芸員によるギャラリートーク
2025年10月10日(金)14:00〜
2025年11月21日(金)14:00〜 手話通訳付き
2025年12月19日(金)14:00〜 手話通訳付き
※当日有効の本展チケット、展覧会無料対象者の方は各種証明書等をお持ちのうえ3階展示室入口に集合。
(4)Ontenna *付きギャラリートーク
2025年12月19日(金)16:00〜 手話通訳付き
会場:東京都写真美術館3F 展示室
定員:6名(事前申込制、応募多数の場合は抽選)
参加費:無料
*Ontenna・・・髪の毛や耳たぶ、えり元やそで口などに付けることで、振動と光によって音の特徴を感じることができる装置。ろう・難聴者と聴者が共に楽しむ未来を目指し、ろう者と聴者の協働で開発された。
(5)筆談鑑賞会「遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22」手話通訳付きインクルーシブワークショップ
聞こえない人、聞こえにくい人、聞こえる人が筆談をしながら一緒に作品鑑賞を楽しむプログラム
2025年11月8日(土)14:00〜16:30
案内人:小笠原新也(耳の聞こえない鑑賞案内人)
会場:東京都写真美術館3F展示室
対象:小学4年生以上、どなたでも
定員:10名(事前申込制、応募多数の場合は抽選)
参加費:無料
■プロフィール
・寺田健人 Terada Kento
1991年沖縄県生まれ。写真作家・美術家。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程を修了。写真を軸に、映像や立体など多様な手法を取り入れたインスタレーションによって制作を行う。人がどのようにして「性」や「生まれ」といった社会的な枠組みによって行動や思考を方向づけられていくのかに関心を持ち、「個人的なことは政治的なこと」というラディカル・フェミニズムの視点を足がかりに、そうした構造を問い直す手段として表現を行っている。
主な展覧会:「想像上の妻と娘にケーキを買って帰る」(BankART Under35 2022、横浜)、「態度が〈写真〉になるならば」(T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2023、東京)、「あらがう」(福岡市美術館、2024年、福岡)、「新収蔵品展」(福岡市美術館、2025年、福岡)など。
受賞歴:2023年に第3回PITCH GRANTでグランプリ受賞など。
©Kento Terada /Courtesy of Yumiko Chiba Associates
▼スクリプカリウ落合安奈 SCRIPCARIU-OCHIAI Ana
1992年埼玉県生まれ。2016年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業(首席・学部総代)。同大学博士課程修了。ポーラ美術振興財団令和4年度在外研修員(ルーマニア)。 日本とルーマニアの2つの母国に根を下ろす方法の模索をきっかけに、「土地と人の結びつき」というテーマを持つ。
主な展覧会:「ポーラミュージアムアネックス展―軌跡を辿る―」(ポーラミュージアム アネックス、東京、2025年)、 「北アルプス国際芸術祭 2024」(長野、2024年)、「Blessing beyond the borders- 越境する祝福 -」(埼玉県立近代美術館、埼玉、2020年)などで作品を発表。
受賞歴:ARTnews Japan「30 ARTISTS U35 2022」、「TERRADA ART AWARD 2021」鷲田めるろ賞、「Forbes Japan 30 UNDER 30 2020」など。
スクリプカリウ落合安奈《ひ か り の う つ わ》2025 年 作家蔵 ©Ana Scripcariu-Ochiai
▼甫木元空 HOKIMOTO Sora
1992年埼玉県生まれ。映画監督、音楽家、小説家。多摩美術大学映像演劇学科卒業。在学中に青山真治の指導を受け、卒業後、青山真治プロデュースにより、自身が監督、脚本、音楽をつとめた『はるねこ』で映画デビュー。また、2019年にBialystocksを結成、22年にメジャーデビュー。2023年には小説「はだかのゆめ」で小説家としてもデビュー。本展では、余命宣告を受けた甫木元の母や、祖父、時々訪ねてくる弟、そして弟夫婦に生まれた姪と共に過ごした高知での日々をテーマに制作した作品を出品する。
主な展覧会:「ARTIST FOCUS #04 甫木元空 窓外 1991-2021」(2023年、高知県立美術館) 主な上映歴:「BAUS 映画から船出した映画館」(2025年)、「はだかのゆめ」(2022年)、「はるねこ」(2016 年)
甫木元空〈窓外〉より 2023 年 作家蔵 ©Sora Hokimoto
▼岡 ともみ OKA Tomomi
東京都生まれ。岡山県と東京都を拠点に活動。2019年ベルリン芸術大学留学を経て、2022 東京藝術大学大学院美術研究科修了。2025年現在同研究科博士後期課程在籍。時間・記憶・反転・光と影をキーワードに、「小さなモニュメント」を作ることをテーマに制作。誰かにとって大切な個人の思い出や、消えかかっている風習など、世界から見過ごされてしまうような小さな物語を封入した装置を作り、リアリティをもった記憶の空間を場に立ち上げることを試みる。
主な展覧会:「オープン・スペース2018イン・トランジション」(ICC、東京、2018 年)、「オープン・スペース2019別の見方で」(ICC、東京、2019年)、個展「どこにもいけないドア」(ASK?P、東京、2018年)など。
受賞歴:2022年三菱地所賞受賞、同年shiseido art egg入選、清流の国ぎふArt Award IN THE CUBE入選。
岡ともみ《サカサゴト》2023 年 作家蔵 ©Tomomi Oka
▼呉夏枝 OH Haji
1976年大阪府生まれ。日本とオーストラリアを拠点に活動。 京都市立芸術大学美術研究科博士号取得。主に、織や染め、ほどく技法を用い、写真/サイアノタイプ、テキスト、音声などを併用したインスタレーション作品を制作。在日韓国人三世の出自を背景に、言葉にされなかった個人の記憶―沈黙の記憶―をめぐる制作をとおして記憶の継承の可能性を探求している。2017年から取り組むgrand-mother island projectでは、東アジア、太平洋を往来した人々の軌跡をたよりに、 海路を通じてつながる個人の物語/歴史を親密に想像、記憶するための場をつくること試みている。
主な展覧会:「アジア・パシフィック・トリエンナーレ 11」(クィーンズランド州立美術館/現代美術館、オーストラリア、2024年)、「ANTEPRIMA×CHAT Contemporary Textile Art Prize 2024」(Center for Heritage of Art & Textile、香港、2024年)、「六本木クロッシング2022:往来、オーライ」(森美術館、東京、2022年)
受賞歴:Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞。
呉夏枝《Seabird Habitatscape#2-Banaba, Nauru, Viti Levu》2024 年 作家蔵
Image courtesy: CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile), Hong Kong ©Haji Oh
【関連リンク】
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5087.html
出展者 | 寺田健人・スクリプカリウ落合安奈・甫木元空・岡 ともみ・呉夏枝 |
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会期 | 2025年9月30日(火)~2026年1月7日(水) |
会場名 | 東京都写真美術館 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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