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東京中野のギャラリー冬青にて、亀山仁「Burma/Myanmar 戦禍の記憶」が開催される。
今回の展示では、現在ミャンマー国内に足を踏み入れられない状況下で、隣接したインドやタイで取材を重ね、ミャンマーの歴史と現状への新たな視座を含む作品を軸にした作品群を展示する。
コロナ禍が始まる前、ミャンマーは民主化(仮)と経済成長が続き、若者たちは自身や国の未来に夢や希望を抱いていた。
2005年から撮影を続けてきた私は、ミャンマーが軍事独裁から民主化へと移行する時期に立ち会えたことを、写真家としての幸運と受け止めていた。
当時私は、第二次世界大戦の終結から80年を迎える2025年に向けて、ミャンマー国内に残る「戦禍の記憶」を撮影し、日本とビルマ/ミャンマーの関係を通して平和の意義を問う写真集の出版を構想していた。
しかし、2020年に世界に広がったコロナ禍、そして2021年2月にミャンマーで発生した軍によるクーデターにより、現地での撮影は困難となった。
私はこれまで、ミャンマーの人々との出会いを通じて写真家としての道を歩み始め、また彼らから利他的な精神やボランティアの在り方を学び、それを人生の糧としてきた。
クーデター以降、仲間と共にミャンマーを支援する団体を作り、国内外の避難民へ人道支援、子どもたちへの教育支援を続けている。
以前私は「戦禍の記憶」は第二次世界大戦の記憶を辿り、現在に繋がる両国の関係を伝えることと考えていたがクーデターが起きて、ビルマ/ミャンマーの人たちにとって「戦禍の記憶」は今も続く現実だと知った。
2022年以降、コロナ禍の収束を受けて、私はインドやタイのミャンマー国境地域を訪れた。そこには、さまざまな「戦禍の記憶」が存在し、祖国を離れざるを得なかった人々の過酷な現実があった。当初の構想とは大きく変わったものの、2025年4月に写真集『Burma/Myanmar 戦禍の記憶 2019–2024』を出版した。
写真集が完成した頃、2025年3月28日にはミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大地震が発生した。クーデター以降、約400万人が国内外で避難民となり、国民の半数が支援を必要としていると国連機関が発表していたミャンマーにおいて、この災害はさらなる苦難をもたらしている。私が何度も撮影で訪れたインレー湖も被災し、甚大な被害を受けた。
戦後80年の今年、世界は平和に向かっているように思えない。「戦禍の記憶」を風化させることなく伝え残すことは我々の責務だと考えている。そして人権が守られず、苦しむ人たちを支援することは世界人権宣言やSDGsで謳われ、普遍的な価値観として共有されているが実行は容易ではない。私は写真表現者として自分にできることで実行していきたい。
第二次世界大戦終戦から80年をむかえる2025年に「写真表現者としてできることを実行していきたい」との思いに賛同し、作品・写真集の売り上げの一部は現地への支援活動に使われる。
- ■展覧会情報
亀山 仁「Burma/Myanmar 戦禍の記憶」
会期:2025年7月4日(金)~ 7月26日(土)
時間:11:00~19:00
休廊日:日曜日、月曜日
会場:ギャラリー冬青
住所:東京都中野区中央5-18-20
■トークイベント
【トーク Vo.1】
2025年7月5日(土)17:00~18:30
亀山 仁(写真家)× 加納 満(写真家)
https://toseisha.base.ec/items/107312197
【トーク Vo.2】
2025年7月18日(金)19:00~20:30
亀山 仁(写真家)× 北川成史(東京新聞特別報道部記者)
https://toseisha.base.ec/items/107312108
■写真集案内
亀山 仁『Burma/Myanmar 戦禍の記憶2019–2024』
発行日:2025年4月14日
発行元:冬青社
仕様:269×260mm、96ページ
価格:5,500円(税込)
https://toseisha.base.ec/items/104768927
■プロフィール
亀山 仁(かめやま・ひとし)
1966年12月東京都生まれ
一般社団法人ミャンマー祭り 理事
日本写真協会会員
https://hitoshi-kameyama.com/web/
【関連リンク】
http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_2507_HitoshiKameyama.html
出展者 | 亀山 仁 |
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会期 | 2025年7月4日(金)~ 7月26日(土) |
会場名 | ギャラリー冬青 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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