top 本と展示展覧会ピックアップ東京目黒のふげん社で第4回ふげん社写真賞グランプリ受賞記念守田衣利「Moon Rainbow」が開催

東京目黒のふげん社で第4回ふげん社写真賞グランプリ受賞記念守田衣利「Moon Rainbow」が開催

2025/06/29

^{守田衣利「Moon Rainbow」©Eri Morita}

東京目黒のふげん社で、第4回ふげん社写真賞グランプリ受賞記念守田衣利「Moon Rainbow」が開催される。

守田衣利は、熊本県出身、カリフォルニア州サンディエゴ在住の写真家。フェリス女学院大学文学部英米文学科卒業後に渡米。1997年International Center of Photography（ICP）ジェネラルスタディース科を修了後、翌年の1998年に、第7回写真新世紀で優秀賞（ホンマタカシ選）を受賞した。2004年には第5回新風舎・平間至写真賞大賞を受賞し、写真集『ホームドラマ』を2005年に上梓している。

2024年に開催された第4回ふげん社写真賞では、過去最多となる192名の応募からグランプリを受賞し、2025年7月に『Moon Rainbow』をふげん社から刊行する運びとなった。

本作は、2005年から2023年まで、娘が誕生してから大学に進学するまでの18年間の、家族3人の暮らしを記録したものだ。ニューヨークで娘を出産した後、ハワイのマウイ島へ移住し、そこから家族として根を下ろす場所を探す旅が始まった。東京、上海、熊本、宮崎と点々とし、カリフォルニア州サンタモニカに流れ着いた後、海岸線を縦断して最終的にたどり着いたのがサンディエゴの海辺の街だった。

産婦人科の診察室のモニターで規則的に明滅する光を見た瞬間から、一人の人間が初めて笑い、立ち上がり、言葉を話し、さまざまな価値観を身につけていく過程は、作家にとってすべてが驚きの連続であり、それらは自らが更新されていく経験でもあったと言う。幸せや安らぎ、苦しみと孤独が同時にあるような、複雑で込み入った存在である家族を、カメラを通して日々記録することで、写真からその存在を理解しようとしてきた。

透徹した視線と一定の距離感から家族を見つめ、18年という長い年月で捉えた写真の束は、プライベート・ドキュメンタリーという範疇にとどまらず、時空や国境を越えた、家族という普遍的な物語へと接続するものだ。

マウイ島で家族と共に見た、夜空にかかる虹は、結局写真には収められることはなかった。しかし、写真にはならなかった、心に焼き付けられた光景と時間の象徴として、それは本作のタイトルに冠せられた。

第4回ふげん社写真賞の選考員を務めた町口覚氏が造本設計した写真集『Moon Rainbow』も展覧会とともにお披露目となる。

■展覧会情報
第4回ふげん社写真賞グランプリ受賞記念　

守田衣利「Moon Rainbow」
会期：2025年7月4日（金）〜7月27日（日）
時間：12:00〜19:00（土日は18:00まで）
休廊日：月曜日
会場：ふげん社
住所：東京都目黒区下目黒5-3-12

■イベント
①ギャラリートーク守田衣利×飯沢耕太郎×町口覚
日時：2025年7月5日（土）14:00〜15:30
参加費：1,000円（オンライン配信あり）
※トーク終了後にレセプションを開催。
※オンライン配信のアーカイブ視聴は2025年8月31日（日）まで
申し込み方法：希望のチケットをふげん社オンラインストア（https://fugensha-shop.stores.jp/）から購入。店頭で支払いを希望の方はふげん社まで（03-6264-3665）。
https://fugensha.jp/events/250705talk/

②ギャラリーガイドツアー（無料・申込不要）
日時：2025年7月12日（土）、2025年7月27日（日）各14:00〜14:30
https://fugensha.jp/events/250712guide/

■写真集の案内
守田衣利『Moon Rainbow』

発行日：2025年7月6日

発行所：ふげん社
造本設計：町口覚
仕様：A4変形（215×245mm）、上製本、140頁、掲載作品82点
定価：6,600円（税込）

■プロフィール
守田衣利（もりた・えり）
熊本県に生まれ、東京で育つ。フェリス女学院大学卒業後、ニューヨークのICP（International Center of Photography）で写真を学ぶ。家族、記憶、日常の情景をテーマに作品を制作。前作『ホームドラマ』は国内外で発表され、2005年に新風舎から写真集として刊行された。
主な受賞歴に、写真新世紀優秀賞・ホンマタカシ選（1998）、新風舎・平間至写真賞大賞（2004）、JGSアーティストアワード（2015）、Tory Burch × ICPフェローシップ（2023）、第4回ふげん社写真賞グランプリ（2024）などがある。
主な収蔵先に、Joy of Giving Something（JGS）財団（ニューヨーク、米国）、ミルウォーキー美術館（ミルウォーキー、米国）、清里フォトアートミュージアム（山梨、日本）などがある。現在、カリフォルニア州を拠点に制作を続けている。

【関連リンク】
https://fugensha.jp/events/250704morita/