ライカカメラ社(以下ライカ)は、100年の歴史を持つ35mm判写真へのオマージュとして幅広いスペクトル感度を備えた高解像度のモノクロームフィルムを発表する。
1925年に登場した「ライカI」は、写真の世界に革命をもたらし、35mm判という新しい標準フォーマットを確立した。当時、このコンパクトなフォーマットは瞬く間に人気を博し、「ライカI」に使用された35mmフィルムカートリッジは、実際にはコダックやアグファ、ペルーツといった他社の製品であったにもかかわらず、販売店や写真家たちの間では親しみを込めて「ライカフィルム」と呼ばれていた。「ライカI」登場から100年という節目に、ライカカメラ社は本当の意味での“ライカ製35mmフィルム”である36枚撮りのモノクロームフィルム「ライカMONOPAN 50」を初めて世に送り出す。
幅広いスペクトル感度と高解像度を備えた「ライカMONOPAN 50」は35mm判写真の黎明期とその時代特有の描写にインスピレーションを受けたモノクロームフィルムだ。その名称は「mono」「pan」そして「50」という3つの要素から成り立っている。
「mono」はライカが2012年に初めて発表したデジタルモノクロームカメラ「Monochrom」シリーズに由来し、「pan」はこのフィルムの特長である優れたパンクロマチック感光特性を、「50」は感度(ISO 50)を表している。「ライカMONOPAN 50」は、極めて微細な粒状性と最大280ラインペア/mmという非常に高い解像度、さらに最大780nmの超パンクロマチック感光特性を兼ね備え、卓越したシャープネスと豊かな階調表現を実現。このフィルムは「小さなネガから大きな写真を」というオスカー・バルナックの理念、すなわち「ウル・ライカ」の出発点でもあるその思想を体現するものだ。
その仕様はライカのレンズ性能を最大限に引き出す設計となっており、特に大判のハイエンドプリントや高精細スキャンにおいて優れた描写力を余すことなく発揮する。バルナックの時代、多くのフィルムは低感度でした。ISO 50/18°という設定はその歴史的背景へのオマージュでもある。「ノクティルックス」、「ズミルックス」、「ズミクロン」といった大口径ライカレンズと組み合わせた、明るい光量の環境下でも絞り開放での撮影が可能となり、ライカならではのボケ味を存分に引き出す。
さらに、拡張されたスペクトル感度により、赤外線撮影にも最適。フィルターへの反応性にも優れており、モノクローム撮影ではライカカラーフィルターとの併用で、写真にコントラスト豊かでドラマチックな印象と撮り手のクリエイティビティを反映する自由をもたらす。
ドイツ製の「ライカMONOPAN 50」は、風景や建築、都市風景、そして旅の写真に最適なフィルムだ。モノクローム写真の表現を自在にコントロールでき、極めて高いディテール再現性を誇る。ビンテージ調のパッケージデザインは、35mm判写真の原点を想起させ、その優れたスペックはまるで、美しい写真でこの物語を新たに紡いでいく写真家へ渡されるバトンのようだ。
- ■製品情報
「ライカMONOPAN 50」
発売日=2025年8月
【関連リンク】
https://leica-camera.com/ja-JP/photography/accessories/m/film/monopan-50
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