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エプソンブランド、制定から50周年!

2025/06/22

セイコーエプソン株式会社(以下エプソン)は、世界中に展開しているエプソンブランドが2025年6月12日に50周年を迎えた。
 
エプソンは1942年の創業以来、ウオッチの開発を通じて培われ、脈々と受け継がれてきたDNAである「省・小・精の技術」を追求し続けてきた。この技術を核にエプソンは、「誠実努力」「創造と挑戦」を続け、数多くの製品と価値を創出し、アメリカをはじめ、アジア、ヨーロッパ、新興国の世界各地へとその販売網を広げてきた。それに伴い、製造拠点やサービス・サポート体制もグローバルに展開してきた。世界中の現場に寄り添いながら、ユーザー層を広げ、より高い信頼を得てきた。
 

  • ■エプソンの技術革新と新たな価値創造:EPの子どもたち
    エプソンは初の情報機器として、1968年に小型軽量デジタルプリンター「EP-101」を発売し、「EP(Electric Printer)」の価値を受け継ぎながら、その子どもたち「SON」を次々と生み出していこうという願いを込めて、「EPSON」ブランドを1975年に制定した。そして、これからも独自の「省・小・精の技術」を核とし、革新的で価値ある製品・サービスを、世界中の人々へ届けていこうという思いが込められている。
     
    ▼プリンティングソリューションズ
    その思いは、コンピューター用小型軽量プリンターを1980年に発売したのを皮切りに、1993年に独自のインク吐出技術「マイクロピエゾ技術」を搭載したインクジェットプリンター「MJ-500」の発売に結実した。さらに、翌年には世界初720dpiの高画質と10万円を切る普及価格を実現した「MJ-700V2C」を発売、これにより、家庭で高画質な写真を印刷するという新たな文化が生まれた。
     
    その後、2010年には、新興国市場においてビジネス用途でプリンターを利用していたユーザーの声に着目し、大容量インクタンクシステム搭載プリンターを発売。現在では約170の国・地域で発売され世界累積販売台数1億台を達成している。
     
    この「マイクロピエゾ技術」は進化を重ね、エプソンは次世代プリントヘッド技術「PrecisionCore」を開発。一般家庭からオフィス、さらには商業・産業領域にまで、一層幅広い製品展開が可能となった。なお、エプソン社製プリントヘッドは、その品質の高さにより社内のみならず社外のプリンターにも採用されており、産業系インクジェットプリンター用ヘッドではトップクラスのシェアとなっている。
     
    オフィス向けには、2017年発売の高速ラインインクジェット複合機「LX-10000F」で100枚/分を実現し、その高速・高耐久な印刷性能と優れたメンテナンス性、インクジェット方式ならではの省エネ性能を強みに、レーザープリンターからの置き換えを進めている。
     
    また、商業・産業領域においては、2000年頃よりプロフェッショナルなグラフィック用途に対応した大判プリンター市場に参入し、フォトグラファーやデジタルプルーフ印刷の定番インクジェットプリンターとも呼ばれるようになった。2003年に発売したデジタル捺染印刷機「Monna Lisa 160B」は、多品種・少量生産が可能で、環境負荷も低く、精細な色調も生地に表現できることから、デザイナーをはじめ繊維業界で高い評価を集めている。さらに、食品・飲料・化粧品などにおいて多品種・小ロット化や商品ライフサイクルの短期化が進む中、2010年にはデジタルラベル印刷機「SurePress」シリーズを発売し、商業・産業領域における多様な印刷ニーズに応えている。
     
    ▼ビジュアルコミュニケーション
    液晶時計の開発を通じて培った液晶技術は、1989年に発売された小型フルカラー液晶ビデオプロジェクター「VPJ-700」へとつながり、1994年には、小型・軽量設計でありながら、従来比で約3倍の明るさを実現した「ELP-3000」は、PCを活用したビジネスプレゼンテーションという新たな用途で使用されるようになった。
     
    その中核を担うのが、プロジェクターの性能を左右する極めて重要なデバイスであるHTPS(High Temperature Poly-Silicon)パネルだ。エプソンのHTPSパネルは、半導体製造にも用いられる先進の微細加工技術に加え、独自設計構造により、高輝度・高画質な映像表現を可能にしている。
     
    こうした技術革新を背景に、2016年には光学エンジンの小型化や冷却性能の向上を実現し、レーザー光源を採用した3LCD方式で世界最高となる25,000ルーメンの明るさを誇る高光束プロジェクター「EB-L25000U」を発売した。
     
    これらの製品群は、現在では数百台を用いた体験型映像演出を通じて人々の心を動かす"驚きと感動"を提供するほか、松本城といった文化遺産をプロジェクションマッピングで美しく彩るなど、プロフェッショナルな現場でも高く評価されている。このような実績もあり、エプソンのビジネスプロジェクターは、世界シェアNo.1となっている。
     
    ▼マニュファクチャリング関連・ウエアラブル他
    創業以来、時計製造の生産効率を高めるために、設計の合理化や組み立ての分業(ベルトライン)、自動化を進め、独自に精密ロボットをも開発し導入した。その後、1983年にはコンパクトかつ高精度・高速動作も可能という特長を備えた水平多関節型(スカラ型)ロボット「SSR-Hシリーズ」を製品化し販売している。エプソンのスカラ型ロボットは、各種装置・コントローラなどを組み合わせたFAシステムとして構築され、自動車・電子・食品・医療業界などにおける生産装置として幅広く使用されており、現在、産業用スカラロボット市場では販売金額世界トップシェアを獲得している。
     
    またロボットと、独自開発の力覚センサーやカメラによる画像認識とを組み合わせることによって、対象物に対して人の手のように繊細な力加減で作業を行うことが可能だ。このような技術は、近年の熟練労働者の減少に対する課題意識や生産性向上のニーズに応えするものになる。さらに製造業にとどまらず、ライフサイエンスや研究機関など、人が介在する工程やプロセスの自動化を支援し、より幅広い業界へのソリューション提供を加速している。
     
    時計領域では、1969年に高精度な時計を目指し世界初のクオーツウオッチを開発。1982年にはTVウオッチ、1988年には自動巻き発電クオーツウオッチを開発するなど、常に「創造と挑戦」を続けてきた。現在でもクオーツウオッチやクオーツウオッチ並みの極めて高い精度を実現したぜんまい駆動ウオッチを独自に開発・製造する一方、2009年にはオリエント時計を完全子会社化し、「ORIENT STAR」「ORIENT」を展開している。
     
    世界初のクオーツウオッチ用に開発した水晶デバイスについても、現在では、省電力、小型、精度の高さによってスマートフォン、ウエアラブル機器にタイミングデバイスとして使用されるだけでなく、位置・姿勢・速度の精密な計測を可能とし、精密農業におけるトラクターやドローンの姿勢制御、インフラを支える基地局やインフラの老朽化をモニタリングできる製品まで、その用途を拡大している。なお水晶デバイスを、原料となる人工水晶から製造している世界的に非常に稀有なメーカーで、水晶発振器の販売金額に置いてもトップクラスを誇る。
     
    ■グローバルにお届けするために
    エプソンは、お客さまに商品・サービスを通じて価値を届けるため、世界中に生産・営業拠点を整備している。エプソンの海外進出は、1968年、シンガポールでのウオッチケース製造から始まり、コスト競争力の強化と国際市場への対応力向上などを目的に中国やインドネシア、フィリピンなど東南アジアを中心に、世界各国・地域へ生産拠点を拡充した。
     
    一方、初の海外販売拠点としては、当時急成長していたコンピューター市場に対応し、グローバルな事業展開を加速させるための戦略的な一歩として、1975年にアメリカにEpson America, Inc.を設立。以降、世界各国へ販売拠点を展開し、グローバルに商品を届ける体制を強化してきた。これにより、現地でどのように製品が使われているかを、販売やサービスの最前線にいる拠点が直接見聞きし、そのニーズをいち早く捉えることで、価値ある商品を市場に届けることができる。
     
    こうした世界各地で展開するネットワーク体制が、これからもエプソンの製品・サービスの開発を支えている。最近では、2023年には中東・アフリカ・中央アジアとその周辺市場への対応として、アラブ首長国連邦・ドバイに販売会社を設立、成長著しい新興国市場への展開を加速している。
     
    ■「創造と挑戦」「誠実努力」で世界中に広がった多様なユーザー
    エプソンブランドが、世界中のユーザーにその価値を認められてきた背景には、エプソンのDNAである「省・小・精の技術」を徹底して追求してきた姿勢がある。この技術は、オフィスにおける複合機や、広告、ポスター、写真作品などで活用されるプロフェッショナルなグラフィック用途の大判インクジェットプリンター、パリ・コレクションの発表でも活躍したデジタル捺染印刷機など、用途に応じた多彩な製品群として展開されている。また、プロジェクターは、より高性能に進化し、感動の空間演出のためにも選ばれている。ロボットについては、製造業だけでなく、人協働ロボットの開発を通じて、ライフサイエンス分野や研究所などでの人が介在する工程やプロセスの自動化を提案し、より多様な業界へのソリューションを加速する。さらに、クオーツウオッチ開発で培った水晶デバイスが、タイミング制御だけでなく、ドローンや農業機械の姿勢制御、インフラ監視など、社会インフラを支える重要な要素技術として活用されている。
     
    この技術とものづくりへのこだわりは、各領域における専門的な要求にも応える高品質・高信頼の製品として結実し、プロフェッショナルな現場でも選ばれる存在へと発展してきた。世界中のユーザーの課題に真摯に向き合い、製品やソリューションに反映させてきたことが、揺るぎない信頼の礎となっている。
     
    エプソンは、独自の「省・小・精の技術」を基盤に、世界中のユーザーの声に「誠実努力」で応え、「創造と挑戦」を重ね、さまざまなイノベーションを生み出してきた。また、豊かな自然と文化に恵まれた信州で誕生した企業として、自然の豊かさを守り、未来へつないでいきたいという思いを強く持っている。これからもエプソンは、ブランドに誇りと愛情を持ち、ユーザーやパートナーとの信頼に応えるべく、エプソンのパーパスである『「省・小・精」から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る』を実践していく。

 
【関連リンク】
https://corporate.epson/ja/news/2025/250612.html

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