top 本と展示展覧会ピックアップ東京神宮前のLAGで木下令子「Reframing」が開催

東京神宮前のLAGで木下令子「Reframing」が開催

2025/05/29

東京神宮前のLAGで木下令子「Reframing」が開催される。
 
木下はこれまで、素材に刻まれた皺や折り目に着目し、それらに絵具を吹き付ける手法や、日焼け・感光といった経年変化をも取り込むことで、不可逆な変化や痕跡を可視化する独自の絵画表現を展開してきた。素材の選択そのものが創作の出発点であり、そこに潜む「像」を見出し、その微かな兆しに作家としての行為を重ねていく姿勢が、木下の絵画を特徴づけている。
 
本展では、ファブリックやパターンクロスを支持体に用いたシリーズ、野鳥観察の体験を基に視点を再構成するシリーズ、「元の場所に戻る」というキーワードをプロセスに取り入れたシリーズなど、木下が近年取り組んでいる多様な表現を、新作を交えて紹介する。
 
タイトルに掲げられた”Reframing”(既存の枠組みを捉え直すこと)は、絵画における形式的な構造や、日常における物事の認識の枠組みを見直すという、木下の近年の関心を象徴している。
 
一連の作品に通底するのは、木下が「潜像」と呼ぶ、対象の内部に潜在するイメージへのまなざし。それは、布や紙などの物理的な支持体の性質、光や空気といった環境的な要因、そして作家の介入が交錯することで立ち現れ、絵画の静かな再構築へとつながっていく。

 

—Artist Statement—
 
紙や布を選ぶその時点ですでに全体の像は立ち上がっており、私の絵づくりはそこからはじまります。 シワや折り目、ひだ、日焼け、感光といった、まっさらではない状態には、絵筆を取る前からすでにイメージが存在しているのです。
霧状の絵具を吹きかける手法は、窓辺に差し込む太陽光を模したものであり、暗室での写真現像の工程とも結びつきます。 現像前のフィルムや印画紙の上に存在する、肉眼では見えないけれど確かにある像は「潜像」と呼ばれ、光化学反応を終えて見えてくるもので、物質が描く像とも表現されます。
机に広げた布や紙の上にも、そして身体の中にも潜像は存在している。私の場合、光ではなく絵具を使って像の現れを待つこと、それが制作にとってもっとも重要な時間です。
 
木下 令子

 

■展覧会情報
木下令子「Reframing」
会期:2025年5月30日(金)~6月21日(土)
時間:13:00〜19:00
休廊日:日曜日、月曜日、祝日
会場:LAG
住所:東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwaビル1F

 

■プロフィール

木下令子 (きのした・れいこ)

1982年熊本県生まれ。2009年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。「うつろう時間の経過そのものを絵にすることはできるだろうか」という問いを起点に絵画制作を行う。主な個展に、「Unnamed hours」(SUCHSIZE /大阪、2025)、「粒と房」(GALLERY crossing /岐阜、2023)、「comma」(SHINBI GALLERY/東京、2023)、「空の気配」(照恩寺/東京、2022)、「日のふるまい」HAGISO / 東京、2017)、「日のなかの点」(清須市はるひ美術館、愛知、2015)、その他グループ展に「Big Sleep」(Masumi Sasaki Gallery / 東京、2025)、「slide/shift」(千總ギャラリー/京都、2024)、「言葉でもなく、イメージでもなく、」(krautraum/東京、2021)、など。

 
【関連リンク】
https://www.live-art-books.jp/lag/exhibition/reikokinoshita/

展覧会概要

出展者 木下令子
会期 2025年5月30日(金)~6月21日(土)
会場名 LAG(LIVE ART GALLERY)

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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