小本 章《90-23》〈Seeing〉より 1990年 東京都写真美術館蔵
©Komoto Akira
東京都写真美術館 3F展示室で総合開館30周年記念「TOPコレクション トランスフィジカル」が開催される。
本展は学芸員4名の共同企画によるオムニバス形式となる。多角的な視点から当館コレクションを選りすぐり、写真と映像の魅力を紹介する。
本展のタイトルは「トランスフィジカル」。フィジカルには「物質的」「身体的」という意味がある。モノとして存在する写真の「物質性」や、被写体や作家自身の「身体的表現」に着目する。さらに、「トランス」という接頭辞は、対象がそのもの自体から、別の形態や位置へ移動していくプロセスや行為をさす。30周年という節目の年に、これまでのコレクション作品のあらたな読み解き方を紹介し、イメージがつくられていくその豊かな過程へ目を向ける。デジタル化が進む現在の写真・映像の在り方に、当館の珠玉の名作が鮮やかな一石を投じる。
■第1室「撮ること、描くこと」(企画:遠藤みゆき)
現代に至るまで、互いに影響を与え合い、密接な関係を持ち続けきた写真と絵画。第1室では、最初期のカラー写真や、絵画と見まがう彩色のほどこされた写真、写真家による絵画、絵画的な画面構成によって制作された写真など、複数の視点から作品を紹介し、写真と絵画の関係を考える。
■第2室「dance」(企画:山﨑香穂)
第2室では、「踊る」という行為が持つ多層的な意味に目を向ける。人々が集い、身体を動かし、声を上げ、自らの想いを表現する「踊る」という行為は、ときに社会を動かす原動力ともなるなど、時代や目的に応じて形を変えながらも様々な側面をみせてくれる。
■第3室「COLORS」(企画:石田哲朗、遠藤みゆき、山﨑香穂、邱于瑄(チィウ ユーシュェン)
写真が発明された最初期から、色彩がないことは写真の欠点のひとつと考えられてきた。苦心の末に獲得された色彩によって、写真家たちの表現は花開く。第3室では写真の色彩をテーマに、本展を担当する学芸員それぞれが選んだ作品を紹介する。
■第4室「虚構と現実」(企画:邱于瑄)
第4室ではコンセプチュアル・アートの影響を受け、現実と虚構の境界を追求しながら、演劇的に構築された写真(ステージド・フォトグラフィ)、および映画と異なるほかのメディアに関連させて、様々な実験的な手法を用いたヴィデオ(映像)の作品群を考察する。
■第5室「ヴィンテージと出会うとき」(企画:石田哲朗)
デジタル時代では「写真を焼く」という感覚や「モノとしての写真」の体験は失われつつある。第5室では、「vintage」(ヴィンテージ)という言葉を手がかりに、年代モノ、一点モノがもつ「本物の」魅力とは何なのかを探っていく。
■主な出品作家
アンセル・アダムス/ウジェーヌ・アジェ/アンリ・カルティエ=ブレッソン/ルイ・デュコ・デュ・オーロン/ウィリアム・エグルストン/ロバート・メイプルソープ/アーウィン・オラフ/ゲルハルト・リヒター/シンディ・シャーマン/チェン・ウェイ/石原友明/出光真子/今井壽惠/岩根愛/瑛九/エキソニモ/オノデラユキ/川内倫子/小本章/小山穂太郎/鈴木のぞみ/田口和奈/多和田有希/東松照明/内藤正敏/野村佐紀子/浜田涼/細倉真弓/森村泰昌/安村崇/山沢栄子/山城知佳子/山本糾 ほか
- ■展覧会情報
総合開館30周年記念「TOPコレクション トランスフィジカル」
会期:2025年7月3日(木)~9月21日(日)
時間:10:00〜18:00(木・金曜日は20:00まで)
休廊日:月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
会場:東京都写真美術館 3F展示室
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
料金:一般 700(560)円/学生 560(440)円/高校生・65歳以上 350(280)円- ※( )は有料入場者20名以上の団体、映画鑑賞券提示者、各種カード会員割引料金/中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)、TOPMUSEUM PASSPORT 2025提示者は無料/8月14日(木)からの木・金曜日17:00-21:00はサマーナイトミュージアム割引(学生・高校生無料、一般・65歳以上は団体料金。学生証・年齢が確認できるものを提示のこと。)/第3水曜日は65歳以上無料 ※各種割引の併用はできない。
■関連イベント
▼スペシャルトーク
アーウィン・オラフ作品の制作背景について(日英逐次通訳付き)
日時:2025年7月6日(日)14:00~15:00
登壇者:Shirley den Hartog(Studio Erwin Olafディレクター)、邱于瑄(当館学芸員)
会場:東京都写真美術館1Fホール
定員:190名
参加費:無料
※当日10:00 より1階総合受付にて整理券を配布
▼連続対談 過去と未来をつなぐ
「コレクションの歴史から何を学び、未来に伝えるか」をテーマに、第一線で活躍する写真・映像の研究者、教育者とTOPコレクション展の共同企画を行う当館学芸員による対談シリーズ
①日時:2025年7月25日(金)18:30~20:00
登壇者:石原友明(京都市立芸術大学芸術資源研究センター 客員研究員)、遠藤みゆき(当館学芸員)
②日時:2025年9月19日(金) 18:30~20:00
登壇者:野澤豊一(富山大学人文科学系 准教授)、山﨑香穂(当館学芸員)
会場:東京都写真美術館1Fスタジオ
参加費:無料
定員:50名(事前申込制)
※申込方法等の詳細は決定次第、ホームページに掲載
▼担当学芸員によるギャラリートーク
日時:2025年7月18日(金)14:00~
会場:東京都写真美術館 3階展示室
参加費:無料(要チケット提示)
※当日有効の本展チケット(「TOPMUSEUM PASSPORT 2025」「東京・ミュージアム ぐるっとパス」を含む)または、展覧会無料対象の方は各種証明書等の提示が必要。
▼担当学芸員によるギャラリートーク(手話通訳付)
日時:①2025年8月8日(金)14:00~/②2025年9月12日(金)14:00~
会場:東京都写真美術館 3階展示室
参加費:無料(要チケット提示)
※当日有効の本展展チケット(「TOPMUSEUM PASSPORT 2025」「東京・ミュージアム ぐるっとパス」を含む)または、展覧会無料対象の方は各種証明書等の提示が必要。
▼インクルーシブプログラム「手話を交えたQ&Aショー」
耳の聞こえない鑑賞案内人の小笠原新也さんが、鑑賞者を代表して、展覧会の担当学芸員に、出品作品や展示意図などについて質問するプログラム。
日時:2025年9月7日(日)14:00~15:00
質問者:小笠原新也(耳の聞こえない鑑賞案内人)
会場:東京都写真美術館 2階ロビー
定員:50名(当日受付・先着順)
【関連リンク】
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5071.html
会期 | 2025年7月3日(木)~9月21日(日) |
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会場名 | 東京都写真美術館 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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