佐藤岳彦『裸足の蛇』がulus publishingより刊行された。
幼い頃から自然に親しんできた佐藤岳彦は、森林動物学の道へと進んだが、生物の底知れぬ多様さ、深さに魅せられ、写真を志すようになった。佐藤の興味の対象は傍らの草むらから、アジア、南米アマゾン、パプアなどの未知なる生命世界へと及び、やがて物事の境界や自己の内側にも生命を見つめるようになる。
本書は、地球上のあらゆる存在が「ゆらぎ、つらなる」感覚を、写真ならではの形で紡ぎ上げようとする試みである。金属光沢を放つミクロサイズの粘菌、色鮮やかなヘビ、ヒトの頭上を覆う世界最大のチョウ。視覚を刺激する被写体の向こう側に、哲学的な思索が広がる作品集となっている。
生命をめぐる旅をつづけてきた。
蛇となって森羅を這いまわり、
裸足の邂逅を重ねた波のような漂い。
私は、私の外に生命を見つめ、
私は、私の内に生命を見つめた。(本書より)
その視座から見える色は、ヒトが忘れかけている「色」だ。その次元から把捉できる形は、ヒトが意識の裏に隠した「形」だ。地を這う蛇が「第三の眼」で捉える世界は、私たちに遙かな記憶を呼び起こす。(寄稿文より抜粋)
佐藤岳彦『裸足の蛇』
サイズ:B5変型判(天地240mm×左右186mm)
仕様:並製本
ページ:208ページ
発行日:2025年4月25日
価格:5,800円+税
寄稿:唐澤太輔(秋田公立美術大学、哲学者)
印刷:東京印書館
発行:ulus publishing
■プロフィール
佐藤 岳彦 (さとう・たけひこ)
1983年宮城県生まれ。写真家。大学院(森林動物学)中退後、写真の道へ。傍らの叢から辺境の密林まで、地球を旅し生命を見つめている。写真集に『密怪生命』(講談社)、『生命の森 明治神宮』(講談社)、『変形菌』(技術評論社)がある。2018年日本写真協会賞新人賞、2019年 Horizonte Zingst International Photo Award(ドイツ)を受賞。
【関連リンク】
https://ulus-publishing.stores.jp/items/67f8df44c823272d824dae37
PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。