東京オペラシティ アートギャラリーで「LOVEファッション─私を着がえるとき」が開催される。
服を着ることは人間の普遍的な営みのひとつ。そして装いには私たちの内なる欲望が潜み、憧れや熱狂、葛藤や矛盾を伴って表れることがある。お気に入りの服を着たい、あの人のようになりたい、ありのままでいたい、我を忘れたい.....。着る人のさまざまな情熱や願望=「LOVE」を受け止める存在としてのファッション。そこには万華鏡のようにカラフルな世界が広がっている。
本展では、京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する18世紀から現代までの衣装コレクションを中心に、人間の根源的な欲望を照射するアート作品とともに、ファッションとの関わりにみられるさまざまな「LOVE」のかたちについて考える。展覧会を通して、私たち人間が服を着ることの意味について再び考えるきっかけとなるだろう。
- ■主な作品 *( )内は東京展の出品作品のデザイナー名
ファッション:- Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)
- Balenciaga(クリストバル・バレンシアガ、デムナ・ヴァザリア)
- Bottega Veneta(ダニエル・リー)
- Céline (フィービー・ファイロ)
- Chanel(カール・ラガーフェルド)
- Christian Dior(クリスチャン・ディオール、ジョン・ガリアーノ)
- Comme des Garçons(川久保玲)
- Comme des Garçons Homme Plus(川久保玲)
- Gaultier Paris by sacai(ジャン=ポール・ゴルチエ、阿部千登勢)
- Givenchy(アレクサンダー・マックイーン)
- Helmut Lang(ヘルムート・ラング)
- House of Worth(ジャン=フィリップ・ウォルト)
- J. C. de Castelbajac(ジャン=シャルル・ド・カステルバジャック)
- Jil Sander(ラフ・シモンズ)
- Junya Watanabe(渡辺淳弥)
- Kimhēkim(キミンテ・キムヘキム)
- Loewe(ジョナサン・アンダーソン)
- Mame Kurogouchi(黒河内真衣子)
- Maison Margiela(ジョン・ガリアーノ)
- Nensi Dojaka(ネンシ・ドジョカ)
- Noir Kei Ninomiya(二宮啓)
- Noritaka Tatehana(舘鼻則孝)
- Pierre Balmain(ピエール・バルマン)
- Prada(ミウッチャ・プラダ)
- Ryunosukeokazaki(岡﨑龍之祐)
- Somarta(廣川玉枝)
- Stella McCartney(ステラ・マッカートニー)
- Thierry Mugler(ティエリー・ミュグレー)
- Tomo Koizumi(小泉智貴)
- Viktor&Rolf(ヴィクター・ホスティン、ロルフ・スノラン)
- Yohji Yamamoto(山本耀司)
- Yoshio Kubo(久保嘉男)ほか
アート:- AKI INOMATA、ヴォルフガング・ティルマンス、小谷元彦、笠原恵実子、澤田知子、シルヴィ・フルーリー、原田裕規、松川朋奈、横山奈美
■見どころ
▼「着ること」の奥深さを再認識する展覧会
私たちは長い歴史の中で、さまざまな情熱や欲望を着る行為に傾けてきた。たとえば毛皮は豊かさや権力の象徴として古から尊ばれていたが、現在では動物保護をうたう一方でその豊かな手触りを手放すことができないという、相反する価値観の間で揺れている。本展では、KCIが厳選した18世紀から現代までの衣服作品を通じて、「着ること」をめぐる人々の多様な願望である「LOVE」とそのありようについて見つめ直す。
▼着る人や創作する人の「LOVE」に溢れた作品を多数展示
美しい花柄が広がる18世紀の宮廷服、いまにも動き出しそうな鳥たちがあしらわれた帽子、極端に細いウエストや膨れ上がった袖のドレス。歴史を振り返れば、過剰や奇抜と思える装いにこそ当時の人々の美意識が凝縮している。現代のデザイナーも新たな形や意味を服に込め、私たちの日々の気分を切り替えるだけでなく、別の何かへと変身できるような感覚を与える。デザインを極限までそぎ落としてミニマルな記号へと還元するヘルムート・ラングや、時代や性別を超えた衣装で私たちの固定観念を揺さぶるコム・デ・ギャルソンがヴァージニア・ウルフの『オーランドー』に触発された作品などがその一例だ。着る側と作る側それぞれの熱い「LOVE」から生み出された装いの数々が登場する。
▼服を着る「私」の存在とその認識を広げる美術作品を紹介
着るという行為は「私」という内面を映し出す輪郭に働きかける。本展では、さまざまな願望や葛藤を抱えながら現代を生きる多様な「私」のありようを、現在活躍するアーティストの作品を通して紹介する。身近な友人との日常を切り取り、ありのままに生きることを肯定するヴォルフガング・ティルマンスの写真、同世代の女性たちのインタビューを題材にその日常と内面を描き出す松川朋奈の絵画、背負う貝殻を変えるヤドカリの姿に人のアイデンティティを重ねるAKI INOMATAの作品など、「私」をめぐる問いの現在形を探る。
- ■展覧会情報
「LOVEファッション─私を着がえるとき」
会期:2025年4月16日(水)〜6月22日(日)
時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休廊日:月曜日、5月7日(水)(ただし、4月28日[月]、5月5日[月・祝]は開館)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2(東京オペラシティタワー3F)
入場料 一般1,600[1,400]円/大・高生 1,000[800]円、中学生以下無料
※[]は各種割引料金
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