卯月梨沙『くうをしおる』が刊行された。2025年4月にtata galleryで開催された展示にあわせて制作された手製のZINEである。
卯月梨沙は幽玄な儚さの中に美しさが同居する写真作品で、近年注目されている写真家だ。妖しい幻想と現実が交差する独自の世界を表現しながら、写真そのものと同様に、写真集の在り方を問い続けている作家だ。
コンパクトで手作り感のある本書だが、そこに作家の息遣いが伝わってくるようだ。
途方もないいまの連なりが
いずれ、明日に繋がるとして
靴擦れみたいな朝に立ち尽くしてしまっても
透明な夜に滲んで解けた輪郭が
眩さに細めた眼へ流れ着き
詰めた息を、ふっと吐き継ぐ兆しとなる
おり続けた幽けき標
無様な足跡だけがほんとうになる
(あとがきより)
■プロフィール
卯月 梨沙(うづき・りさ)
写真家
2018年 - 2023年 写真表現中村教室に在籍 小宮山桂氏に師事
個展
2024:『コノ日』/ Gallery 04街区
2024:『幽明』/ スタジオ35分
2023:『不透明なけもの』/ ギャラリー・ニエプス
2022:『幽明』/ ニコンサロン新宿
受賞
第29回 酒田市土門拳文化賞 奨励賞受賞
コレクション
清里フォトアートミュージアム
卯月梨沙『くうをしおる』
サイズ:150mm×105mm
ページ数:40ページ
作品掲載数:20点
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