top 本と展示写真集紹介佐谷香『覚醒者の夢』

佐谷香『覚醒者の夢』

2025/05/29

髙橋義隆

佐谷香『覚醒者の夢』がタタより刊行された。本書は2024年2月にtata galleryで展示された際にあわせて制作されたもの。

佐谷香は1986年生まれ、物心がついた頃から詩歌、写真を独学で始め、近年は絵画や立体作品の制作、身体を用いた実験的パフォーマンスを発表するなど、日々創作活動を行っている作家だ。本作は多岐に渡る表現活動を行っている佐谷香の初の写真集となる。

佐谷香の写真は鋭利な視点で切り取られた構図のなかに、光と影のコントラストが重なることで孤独と不安が生まれ、その淵から生死のはざまを彷徨っているような印象を与える。

佐谷の世界は難病、障害、認知症を経験した彼女だからこそ表現出来た独自の世界であり、そして、そこには誰もが踏み込むことの出来ない、研ぎ澄まされた純粋な感覚が確実に存在しているようだ。

■プロフィール
佐谷香（さや・かおり）
1986年生、茨城県土浦市出身。

眼医者の産婦人科で生まれる。両親の事情により、幾度か名字変更を行う。
杉並区、現在練馬区在住。物心がついた頃から、詩歌、写真を独学で始める。難病、障害、認知症化が進み、警察に一時保護される。2020年、閉鎖病棟にて隔離。近年、作業療法として、絵画と立体物等、制作中。即興表現、舞踏やダンス、道具と身体を使用し、実験的パフォーマンスに取組んでいたりと、活動は多岐にわたる。

▼受賞歴
2023
広島県広島市ピースアート展　入選
いしかわ百万石文化祭全国障害者作品展　入選
石川県能美市障害者芸術DIA展　特別賞受賞
東京都江戸川区BOXART展　江戸川区長賞受賞
埼玉県埼玉近代美術館にて行われた、関東・甲信越ブロック合同企画展にも出品