荻野良樹『山神5』が刊行された。
三重県在住の写真家荻野良樹による自主制作写真集。地元の人々に受け継がれてきた山神信仰の足跡を辿るシリーズ。どこか懐かしい風景をじっと見つめていると、かすかな息遣いが感じられてくる。
失われていく日本の風土を巡るこの作品は、柳田国男や宮本常一の系譜に連なるといえる。
-山神どこ?
すぐそこ、すぐそこにあります
-ずっとこの場所?
ちがう、耕地整理してここに変わったけどな
もとはもうちょっと向こうの方やな、いまの電信柱くらいやな
-昔から石が置いてある形?
そう、ほて鳥居もあったんやけどな、昔は
-過去の行事は?
昔のこれ、あれやわな、田んぼやあんなの守り神みたいなもんやわな
ほんで子供の時分でどんど炊いたり、あんなんしてましたやけどな、今はしてない
もう50年くらい経つな
あれして、辞めてから
子供が集まって、中学校まで
うちらの時分はまだしとったけどな、3年生くらいまではしてました
子供たちは楽しみにしとった、寄ってあれすんのはな
そいう風に昔からしとったであれやわな、昔からどんど炊いて祀っとったわけやわな
-人に聞いて来たが場所がわからなかった
こんなんわかんにくいわな
秋なんかは神主さんもまいってもうとったんやけど
青年団の時分はちゃんと祈祷してもて、今はしてない
秋祭りやわな、10月の4日時分にしとったんやわな
昔は4日と決まっとったんやわな、昔は土日もあらへんで
うちがいつでも草の管理してますで
ほんとは町のあれやけどな
-だれも守りはしていない?
してない、町もなんにも知らん顔やな
草まるけになるもんでさ、草やあんなをみなあれしてますのやわ
山神の守りをしているご夫婦(鈴鹿市箕田町)
- 荻野良樹『山神5』
- 制作・発行:fragment records
- サイズ:A4変形(200mm×260mm)
ページ:32ページ
仕様:ソフトカバー、フルカラー
価格:1,000円(税込)
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