梓出版より、飯沢耕太郎・大山顕の対談集『写真は死んだのか? いまこそ写真の純粋な驚きを語ろう』が刊行された。
写真はどこに向かおうとしているのか。カメラ・オブスクラから生成AIまで、過去から現在までの写真の歴史を俯瞰しながら、写真のこれからの動向を考える
- ■目次
は し が き
1 写真の本質とは何か? 写真史から考えるⅠ- カメラ・オブスクラの本質はモンタージュにあった
影の発見はレンズとライティングによってもたらされた
写真が誕生する以前の写真的視覚
ヘリオグラフィに見る写真の起源を辿ることの難しさ
ダゲレオタイプの果てにあるAIによる顔認証
写真を成立させるのは線ではなく面である
潜像の発見 写真は見えないものを、見えるようにした
現像のメタファとしての「中つ国」
現代におけるシャッターの意味の変容
カロタイプの発明によってイメージは場所から解放された
ガラス素材の導入と湿板写真
ゼラチン乾板と笑顔の発見
コダックによる現像のバックヤード化とフィルムによる決定的瞬間の神話の誕生
ライカは映画フィルムを転用して、プリントサイズは絵葉書を基準にした
フィルムによる連続撮影と写真のシークエンス
カメラメーカーではなく、コンピュータメーカーがレンズ開発競争を無効にした
カルティエ=ブレッソンの写真集Images a la sauvette は、「決定的瞬間」ではなく「かすめ取る」イメージ
写真と映画に含まれるブレの意味- 2 写真の本質とは何か? 写真史から考えるⅡ
- カラー写真の歴史
写真家たちによるカラー写真の受容
現代において写真に色をつける意味とは?
色に含まれる罠- 3 写真は「得も言われぬもの」をすくいとる 無意識と心霊写真
- 無意識の可能性と、さまざまな回路
撮れちゃった写真と、写真に入り込むバグ
ウィリアム・マムラーと心霊写真の時代
心霊写真の時代に見る写真と人々の欲望
日本における心霊写真のポストモダン
生成AIは現代の念写である
場所に根ざす心霊写真と場所に根ざさない生成AI- 4 写真を語ることは難しいのか?
- 写真を語ることと共同性
写真を直接語るのではなく、迂回路をつくる
ポートフォリオを作る
写真をどう並べ、どう収めるのか
作品の選考において審査員の意見は八割がた一致する- 5 SNS時代の写真の役割は、記録からおしゃべりになった
- 分水嶺は一九九五年 カメラを取り巻く環境の整備
『デジグラフィ』執筆の動機とは
蓄積性の問題 膨大なデータ量の管理がコストになる時代
保存の本質はメンテナンス
写真はAIがサジェストする時代
写真によるおしゃべりは新しい神話や物語を生むか?
ウェブサイトの時代とSNSの時代
SNSで「いいね」をもらう写真には既視感がある
ユースフル・フォトグラフィは、新しい認識や世界像を提示する
写真の消去性 現代の写真は消去されなかったものの残り
写真表現の物質性と、透明な存在になったスマートフォン
写真を見せる、交換する、コレクションする 現代の欲望はSNSにつながる
猫写真に見るSNS以降の写真の特徴
食べ物の写真と建築写真は、「既視感」と「いいね」で構成される
撮っている自分は何者なのか? 近代的自我への疑問
セルフィー「ここにいる自分」に価値がある
盛りの思想 顔は自分のものでしょ- 6 生成AIは写真家の夢を実現するのか?
- ボリス・エルダグセンの「Pseudomnesia: The Electrician」
なぜフォトリアルなのか? その理由が求められる時代
写真コンテストよりも、アーティスト・イン・レジデンスをやるべき
生成AIはInstagram によって準備されていた
写真を忠実に学習している生成AIは、既視感からは逃れられない
AIが生成する画像はコラージュに類似するものか?
生成AIは出力主義 写真家は入力行為のために存在する
見えないものを見ることが写真家の夢だった 生成AIはまだまだ物足りない- あとがき
■プロフィール
飯沢耕太郎 (いいざわ・こうたろう)
1954年生まれ。1984年筑波大学大学院芸術学研究科修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』『私写真論』『デジグラフィ』『写真を愉しむ』『増補 戦後写真史ノート』『アフターマス 震災後の写真』(共著)、『キーワードで読む現代日本写真』ほか。
大山 顕 (おおやま・けん)
1972年生まれ。1998年千葉大学大学院工学部修了。Panasonic シンクタンク部門に10 年間勤めた後、写真家として独立。主な著書に『工場萌え』『団地の見究』『ショッピングモールから考える ユートピア・バックヤード・未来都市』(東浩紀との共著)、『立体交差 ジャンクション』(土木学会出版文化賞)、『新写真論 スマホと顔』(日本写真協会賞学芸賞)、『撮るあなたを撮る私を』ほか。
- 飯沢耕太郎・大山顕
- 『写真は死んだのか? いまこそ写真の純粋な驚きを語ろう』
- 出版:梓出版社
- 発行日:2024年11月27日
- 仕様:四六判(188×128×15mm)、220ページ
- 定価:本体2,500円+税
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