top 本と展示写真集紹介飯沢耕太郎・大山顕『写真は死んだのか? いまこそ写真の純粋な驚きを語ろう』

飯沢耕太郎・大山顕『写真は死んだのか? いまこそ写真の純粋な驚きを語ろう』

2025/02/10
髙橋義隆

梓出版より、飯沢耕太郎・大山顕の対談集『写真は死んだのか? いまこそ写真の純粋な驚きを語ろう』が刊行された。
 
写真はどこに向かおうとしているのか。カメラ・オブスクラから生成AIまで、過去から現在までの写真の歴史を俯瞰しながら、写真のこれからの動向を考える

 

  • ■目次
    は し が き
    1 写真の本質とは何か? 写真史から考えるⅠ
  • カメラ・オブスクラの本質はモンタージュにあった
    影の発見はレンズとライティングによってもたらされた
    写真が誕生する以前の写真的視覚
    ヘリオグラフィに見る写真の起源を辿ることの難しさ
    ダゲレオタイプの果てにあるAIによる顔認証
    写真を成立させるのは線ではなく面である
    潜像の発見 写真は見えないものを、見えるようにした
    現像のメタファとしての「中つ国」
    現代におけるシャッターの意味の変容
    カロタイプの発明によってイメージは場所から解放された
    ガラス素材の導入と湿板写真
    ゼラチン乾板と笑顔の発見
    コダックによる現像のバックヤード化とフィルムによる決定的瞬間の神話の誕生
    ライカは映画フィルムを転用して、プリントサイズは絵葉書を基準にした
    フィルムによる連続撮影と写真のシークエンス
    カメラメーカーではなく、コンピュータメーカーがレンズ開発競争を無効にした
    カルティエ=ブレッソンの写真集Images a la sauvette は、「決定的瞬間」ではなく「かすめ取る」イメージ
    写真と映画に含まれるブレの意味
  •  
  • 2 写真の本質とは何か? 写真史から考えるⅡ
  • カラー写真の歴史
    写真家たちによるカラー写真の受容
    現代において写真に色をつける意味とは?
    色に含まれる罠
  •  
  • 3  写真は「得も言われぬもの」をすくいとる 無意識と心霊写真
  • 無意識の可能性と、さまざまな回路
    撮れちゃった写真と、写真に入り込むバグ
    ウィリアム・マムラーと心霊写真の時代
    心霊写真の時代に見る写真と人々の欲望
    日本における心霊写真のポストモダン
    生成AIは現代の念写である
    場所に根ざす心霊写真と場所に根ざさない生成AI
  •  
  • 4 写真を語ることは難しいのか?
  • 写真を語ることと共同性
    写真を直接語るのではなく、迂回路をつくる
    ポートフォリオを作る
    写真をどう並べ、どう収めるのか
    作品の選考において審査員の意見は八割がた一致する
  •  
  • 5 SNS時代の写真の役割は、記録からおしゃべりになった
  • 分水嶺は一九九五年 カメラを取り巻く環境の整備
    『デジグラフィ』執筆の動機とは
    蓄積性の問題 膨大なデータ量の管理がコストになる時代
    保存の本質はメンテナンス
    写真はAIがサジェストする時代
    写真によるおしゃべりは新しい神話や物語を生むか?
    ウェブサイトの時代とSNSの時代
    SNSで「いいね」をもらう写真には既視感がある
    ユースフル・フォトグラフィは、新しい認識や世界像を提示する
    写真の消去性 現代の写真は消去されなかったものの残り
    写真表現の物質性と、透明な存在になったスマートフォン
    写真を見せる、交換する、コレクションする 現代の欲望はSNSにつながる
    猫写真に見るSNS以降の写真の特徴
    食べ物の写真と建築写真は、「既視感」と「いいね」で構成される
    撮っている自分は何者なのか? 近代的自我への疑問
    セルフィー「ここにいる自分」に価値がある
    盛りの思想 顔は自分のものでしょ
  •  
  • 6 生成AIは写真家の夢を実現するのか?
  • ボリス・エルダグセンの「Pseudomnesia: The Electrician」
    なぜフォトリアルなのか? その理由が求められる時代
    写真コンテストよりも、アーティスト・イン・レジデンスをやるべき
    生成AIはInstagram によって準備されていた
    写真を忠実に学習している生成AIは、既視感からは逃れられない
    AIが生成する画像はコラージュに類似するものか?
    生成AIは出力主義 写真家は入力行為のために存在する
    見えないものを見ることが写真家の夢だった 生成AIはまだまだ物足りない
  •  
  • あとがき

 

■プロフィール
飯沢耕太郎 (いいざわ・こうたろう)  
1954年生まれ。1984年筑波大学大学院芸術学研究科修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』『私写真論』『デジグラフィ』『写真を愉しむ』『増補 戦後写真史ノート』『アフターマス 震災後の写真』(共著)、『キーワードで読む現代日本写真』ほか。
 
大山 顕 (おおやま・けん)
1972年生まれ。1998年千葉大学大学院工学部修了。Panasonic シンクタンク部門に10 年間勤めた後、写真家として独立。主な著書に『工場萌え』『団地の見究』『ショッピングモールから考える ユートピア・バックヤード・未来都市』(東浩紀との共著)、『立体交差 ジャンクション』(土木学会出版文化賞)、『新写真論 スマホと顔』(日本写真協会賞学芸賞)、『撮るあなたを撮る私を』ほか。

 

  • 飯沢耕太郎・大山顕
  • 『写真は死んだのか? いまこそ写真の純粋な驚きを語ろう』
  • 出版:梓出版社
  • 発行日:2024年11月27日
  • 仕様:四六判(188×128×15mm)、220ページ
  • 定価:本体2,500円+税

 

【関連リンク】
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784872627152

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