小林茂太「plateau」©Shigeta Kobayashi
東京外苑前のLAGで小林茂太「plateau」が展示される。
自然の事象や人間の痕跡をテーマに写真家として活動する小林は、2018年のアイスランドでの滞在時に様々な自然の形を目の当たりにしたことをきっかけに地質学的な現象に関心を持ち、以降その視点を自作に取込みながら制作を続けてきた。
今回展示される新作シリーズ“plateau”は、北アルプスに位置し広大な自然が広がる雲ノ平にて撮影されている。
—Artist Statement—
日本の北アルプスにある雲ノ平山荘で滞在制作した際、山荘の周辺に点在する池のさまざまなかたちに興味をひかれた。雲ノ平は、飛騨山脈にある黒部川源流部のなだらかな溶岩台地に位置し、また、こうした特異な環境下の湿原で形成される池のことを池塘(ちとう)と呼ぶことを知った。それから2年後、再び雲ノ平を訪れると、今度は同様に台地に点在する岩石や樹木のかたちに興味をひかれた。
池塘や岩石、樹木を眺めていると、それぞれのかたちをそうあらしめてきた自然現象や形成されるまでの時間について考えを巡らせずにはいられなかった。それと同時に、そのようなありきたりでどこか借りもののような自然への態度は、そこまで歩いてきた道のりや昨日まで一緒にいた家族のことが実感として思い浮かぶと、どれほどの自然であったとしても自身の中で一つの交点を結ぶように感じた。
日常の生活からかけ離れているかのような北アルプスの自然を対象としながら、紛れもなく日常と地続きにあるこれらのかたちを通して、遠い場所のできごとや想像することでしか感覚することの難しいものごとを身近に感じるきっかけとなれば幸いである。
小林茂太
本来目に見えないはずのものが何らかの理由で目に見えるものとして露出すること。
地質学の分野で「露頭」と呼ばれる現象に興味をもった小林は、高山の湿原に生じる「池塘」と呼ばれる池沼や、噴火の名残として台地に露出する岩石、吹雪の影響で独特な形状を成す樹木など、長い年月の中で形成されたその土地特有に露われる様々な自然のかたちに注目した。
写真という媒体を通じてそれらを提示することで、人間と自然との距離感や、人間の自然への態度のあり方などに対しての再考を促す。
- ■展覧会情報
小林茂太「plateau」
会期:2025年1月17日(金)~2月8日(土)
時間:13:00〜19:00
休廊日:日曜日、月曜日、祝日
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)
住所:東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwa神宮前ビル1F
■写真集案内
小林茂太 『plateau』
発売日:2024年11月28日
発行所:books cairn
寄稿:伊藤二朗(雲ノ平山荘代表)
デザイン:宮添浩司
仕様:上製A4変型(210×278mm)
印刷・製本:ライブアートブックス
特別協力:合同会社雲ノ平山荘
本体価格:3,800円(税込)
■トークイベント「自然との距離」
登壇者:伊藤二朗(雲ノ平山荘代表)、小林茂太
日時:1月31日(金)19:00〜20:00
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)
料金:¥500-(新刊写真集『plateau』をお持ちの方、もしくは当日購入した方は無料)
定員:35名(事前予約制)
申込:
伊藤二朗(雲ノ平山荘代表)
■プロフィール
小林茂太(こばやし・しげた)
1985年新潟県生まれ。主な作品集に、「AURORA」(2019)、「cairn」(2020)、「stratum」(2022)、「池塘」(2023)があり、2023年から地質学用語である”露頭”をキーワードに、「露れ」という作品の制作に取り組んでいる。また、出版レーベル『books cairn』を2021年から主宰し、自身の作品集の出版、販売を行なっている。
【関連リンク】
https://www.live-art-books.jp/lag/exhibition/shigetakobayashi/
出展者 | 小林茂太 |
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会期 | 2025年1月17日(金)~2月8日(土) |
会場名 | LAG(LIVE ART GALLERY) |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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