Case Publishingより鵜川真由子『海辺のカノン』が刊行された。
生命の源としての海。ポートレート、スナップ写真、浜辺に打ち上げられたオブジェの写真のなかに、鵜川真由子は自然の循環性を描き出し、世界の広大さを示唆している。
コロナ禍を機に神奈川県茅ヶ崎市に移り住み、現在海から徒歩数分の場所で暮らす鵜川。「私はそれなりに都会で生まれ育ったため、生活の中に大自然が存在すること自体が新鮮であり、驚きの連続でもありました」と述べる彼女は、2021年から海へと通いはじめ、目の前で起こっていることを4つのトピックに分けて撮影をしてきた。2023年、浜辺の漂着物を撮ったシリーズ「Portraits」を発表。続く本作「海辺のカノン」では、空と海と、自然に寄り添われて生きる人々の暮らしを3部構成で描いている。
「きっかけは浜辺で見つけたカセットテープでした。砂まみれのその姿からは、おそらく長い年月海の中を漂い続けていたことが伺えます。いつ、どこから来たのかも分からないけれど、誰かの思い出ごと私の元へと辿り着いたのです。このとき、時間の概念が厚い層になっているように感じました。海の上に広がる空には、昼の終わりと夜の始まりが同時に存在しています。そして今よりずっと以前から繰り返されてきた人の営みは、寄せては返す波のように幾重にもなり、自然の大きなサイクルの中で巡っていくのです」
― 鵜川真由子
■プロフィール
鵜川真由子(うかわ・まゆこ)
⼤阪府出⾝。広告や雑誌など商業写真の分野でポートレイト撮影を中⼼に活動する他、レビュアーや審査員も務める。またパーソナルワークとして都市と⼈との関わりに着⽬し作品制作を続けている。主な写真展に個展「Out of the Garden」(キヤノンギャラリー銀座・梅⽥/2013年)・ 個展「Rhapsody in Blue」(キヤノンギャラリー銀座・梅⽥/2017年)・個展「LAUNDROMAT」(富⼠フイルムフォトサロン東京・⼤阪/2021年)・新鋭展「WONDERLAUND」(⼊江泰吉記念奈良市写真美術館/ 2022年)・個展「PORTRAITS」(PLACE M / 2023年)、写真集に『WONDERLAUND』(私家版/2021年)・『海辺のカノン』(Case Publishing/ 2024年)などがある。
- 鵜川真由子『海辺のカノン』
- 出版:Case Publishing
- 発行年:2024年
- 仕様:247×168mm、120ページ、ハードカバー
言語:英語、日本語- 価格:5,500円(税込)
【関連リンク】
https://case-publishing.jp/jp/publication/les-deux-crepuscules
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