榎本祐典『trace』

榎本祐典『trace』が刊行された。

どこかで感じたことのある匂いや温度、聞いたことのある音に触れた時、
その感触を辿ると意識の中でかすかな光に導かれて、それはじわじわとおぼろげな像になる。
まるで露光されたフィルムに宿る潜像が、現像によって浮かび上がるような感覚だ。
ある日、ふと撮り溜めた写真を見返した。
そこには自身の記憶の外側の、カメラが捉えた無意識な光の痕跡があった。

暗闇の中に光の痕跡が浮かび上がるような印象の黒を基調としたデザイン。 
場所や時代も曖昧な何気ない瞬間の連続の中、時折フィルムのネガのように反転した作品や透過性のある紙に印刷された作品も登場する。
作者が銀塩写真制作の中で潜像からイメージを現像していく過程を表しているようでもあり、また制作プロセスそのものへの思い入れが感じられる。

榎本祐典『trace』
製本：並製本
ページ数：80p
サイズ：250mm×182mm
初版250部限定

■プロフィール
榎本祐典（えのもと・ゆうすけ）
1986年、東京生まれ。東京造形大学写真専攻卒業。以後、写真家として活動。 現在、東京造形大学非常勤講師。 フィルムでの撮影、現像によって作品を発表している。MONO GRAPHY Camera & Artの暗室「CAMERA MONSTER」にて、フィルム現像やプリントのワークショップ講師も務める。
 
【関連リンク】
https://www.monography.shop/product/-trace/962?cs=true&cst=custom

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髙橋義隆