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東京国立のZEIT-FOTO Kunitachiで鷹野隆大「写真」が開催

2024/09/27

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^{©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates}

東京国立のZEIT-FOTO kunitachiでは鷹野隆大「写真」展を開催する。

現代の日本の写真家のなかでも秀でた活躍を見せる鷹野隆大だが、私たちはどのくらいこのアーティストについて理解しているのだろうか。鷹野隆大といえば写真集『In My Room』でみせたニュートラルなヌードを思い浮かべる人は多いと思いうかべる。だが、その一方で1998年から続けているシリーズ〈毎日写真〉や〈カスババ〉といったスナップショットも、そこに写されたイメージと写真を撮るという行いそのものとの両方が、紛れもなく鷹野隆大そのものでもあり、このアーティストを理解するのに欠くことはできない作品群だ。また、最近では“影”という新たな要素がそこに加わり、さらに私たちを混乱させる。

だが、この混乱は決して嫌なものではない。鷹野の作品を前にすると「写真って何なの？」という疑問が湧いてくる。それは「現代美術としての写真」ということをも包含した唯の「写真」に対して発せられる「何なのか」だ。この疑問に対し私たちは普段、考えようとはしない。スマホには膨大な数の写真が貯まっているにもかかわらずだ。そして、鷹野隆大はその大きな謎に対して、これが答えだと圧倒しようとはしない。写真が写真である限り、あれもこれも写真であり、同時に、それが写真をわからなくする。そのことを受け止めた上で、それを迷いとしてではなく、数あるうちの一つの結論として提示するのが鷹野隆大のやり方だ。だからこそ、私たちは、〈毎日写真〉のような地道な実践や、〈影〉のシリーズといった実験的な試みに手招きされて、進んで鷹野の作品世界に入っていくのかもしれない。

鷹野は今回の展覧会に「写真」という名を与えた。出品されるのは、『In My Room』から〈毎日写真〉〈日々の影〉等、大小様々なサイズのプリント。ツァイト・フォトにゆかりのある作品も数多く展示される。そこで、私たちは鷹野隆大というアーティストが放つ独特の色を見ることだろう。ZEIT-FOTO kunitachiという一軒家が、会期中、鷹野隆大の作品世界を体感できるスポットへと変貌する。

■展覧会情報
鷹野隆大「写真」
会期：2024年10月5日（土）～11月16日（土）
時間：金曜 15:00〜20:00／土曜 11:00〜18:00／火・水・木曜はアポイントメントのみ
休廊日：日曜、月曜、祝日
会場：ZEIT-FOTO Kunitachi
住所：東京都国立市中2-22-33

■プロフィール
鷹野隆大（たかの・りゅうだい）
1963年生まれ。セクシュアリティをテーマに1994年より作家活動を開始。女か男か、同性愛か異性愛かといった二項対立の狭間にある曖昧なものの可視化を試みた写真集『IN MY ROOM』で2006年に第31回木村伊兵衛写真賞を受賞。他方、毎日欠かさず撮ることを自らに課したプロジェクト『毎日写真』を 1998年に開始し、その中から日本特有の無秩序な都市空間の写真を集めた『カスババ』を発表（2011年）。その後、東日本大震災を機に影をテーマに様々な作品制作に取り組んでいる。2021年、国立国際美術館（大阪）にて個展『毎日写真1999-2021』を開催。2022年、第72回芸術選奨文部科学大臣賞受賞（美術部門）、第38回写真の町東川賞国内作家賞受賞。

【関連リンク】
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