top 本と展示写真集紹介小島一郎『Solitude Standing』

小島一郎『Solitude Standing』

2024/10/08
髙橋義隆

roshin booksは2024年、生誕100周年を迎える小島一郎の写真集 Solitude Standingを出版した。1924年に青森で生まれた小島一郎は、卓越した構図力と覆い焼き等を駆使した暗室技術で日本の東北地方の厳しい環境に生きる人々の営みを描いた。壮大な空のもと、眼前に広がる大地の光景に小島はカメラを手に向き合う。
 
写真家としての活動期間は僅か10年ほど。39歳で急逝した小島が残したドラマティックな世界は、今を生きる私たちの心にいまだ響き続ける。roshin booksでは、そんな小島の作品の中に見つけた「孤高」という側面に注目し、青森県立美術館に保存されている未発表作品を1から見直した上で、新たにSolitude Standingとして編んだ。
 
また、別冊として「東京の夕日」を制作した。小島の上京生活で疲弊した心を写すかの如く、都市に沈む夕日に向けられた切なさやもどかしさは見るものの心にダイレクトに訴えかけてくる。津軽のイメージから離れようとしても離れられないジレンマ、どこまでも自分につきまとう東北のイメージから小島は逃げることができなかった。
 
小島がカメラのシャッターを押した東京の夕日のその向こうには、津軽の雪がしんしんと降り続ける静寂の光景が見えていたのかもしれない。
 
既に小島を知る人にも、これから知る人にも新しい小島の軌跡を知ることができる1冊となる。
 
■プロフィール
小島一郎(こじま・いちろう、1924 – 1964)
1963年『津軽 ―詩・文・写真集―』新潮社
2004年『hysteric eleven』ヒステリックグラマー
2009年『小島一郎写真集成』インスクリプト
2014年『津軽』IZU PHOTO MUSEUM

 

  • 小島一郎『Solitude Standing』
  • 発行年月:2024年8月
  • 発行:roshin books
  • 仕様:270×225×18mm、80ページ、白黒作品62点、クロス装ハードカバー、箔押し、限定1,000部
  • デザイン:加藤勝也
  • 価格:5,995円(税込)

 
【関連リンク】
https://roshinbooks.com/solitudestanding.html

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