top 本と展示展覧会ピックアップ群馬県桐生市の大川美術館で石内 都「Step Through Time」が開催

群馬県桐生市の大川美術館で石内 都「Step Through Time」が開催

2024/08/21

群馬県桐生市の大川美術館で石内 都「Step Through Time」が開催される。
 
国内外で活躍を続ける写真家・石内都。2018 年にその活動の拠点を横浜から生地・桐生に移し6年が経過した。本展では、デビュー作とされてきた代表作《絶唱、横須賀ストーリー》に先立つ1976年、桐生周辺で撮った《はるかなる間》から、木村伊兵衛賞を受賞した1979年《APARTMENT》、日本各地の赤線跡を被写体として現在も撮り続ける《連夜の街》、亡き母の日常のものを写した《Mother’s》、被爆した人たちの遺品を独自のまなざしで撮り続ける《ひろしま》の新作をはじめとする代表的なシリーズに、石内がプリントしたヴィンテージプリントを多数加えた構成でたどる。また、桐生の街をとらえた新作《From Kiryu》を初公開する。
 
本展は、大川美術館の開館(1989年)以来、展示室のすべてをつかって開催される初めての展覧会となる。社員寮を改築してつくられた個室が連なる展示空間において、石内都が向き合ってきた時間の層を旅する。
 
■モノクローム― 石内のプリントによる初期作ヴィンテージプリントの展示
初期作《はるかなる間》(1976年)、《絶唱、横須賀ストーリー》(1976-77年)、《APARTMENT》(1978年)、《連夜の街》(1978-)、《壜づめの時間》(1981年)、《上州》(1982年)といった壊されゆく風景のシリーズを一堂に展示する。1981年、昭和初年に建築された東京歯科大学の取り壊しを機に依頼されて撮った《壜詰めの時間》は、1982年の発表以来、国内で初めての展示となる。
 
■Mother’s
「石内都」という名は、母の結婚前の姓名。2000年に亡くなった母の「不在の証」を遺品のひとつひとつと向き合いながら丹念に撮影したシリーズ。石内の写真に立ちあがる肉親の生死へのまなざしは、普遍的な感情として国境を越え、多くの人々に多様な感情を喚起させる。
 
■ポートレート―身体の器、蓄積された時
石内は、1980年代半ばに、《同級生》《1・9・4・7》といったシリーズを手がけまた。本展では、自らと同じ時間を過ごしてきた「身体」を凝視するこれらのシリーズとともに、石内の母、父、祖母、そして、石内が敬愛する表現者たち(伊藤比呂美、青木野枝、新井淳一)の顔、手、足、皺、髪、爪を被写体としたポートレートを展示する。
 
■《Moving Away》《From Kiryu》
43年間を暮らし、仕事をし、人々を迎えた場所・金沢八景を離れるまでの時間をセルフポートレートとして写した《Moving Away》(2015-2018)から暗室周辺を撮った作品を展示する。そして桐生に転居し現在まで、栄枯盛衰の街・桐生を歩き撮った《From Kiryu》(2018-)を初公開する。
 
■存在と不在―《Scars》《INNOCENCE》《AtoA》、そして《ひろしま》新作
1990年頃から撮りはじめた身体にのこる傷跡を被写体とした代表的なシリーズから、これまで展示の機会が少なかった作品を紹介する。同展示室では、2007年に被爆した人たちの遺品を初めて撮影して以来、「ずっと出会いを維持し続けているようなシリーズ」と自ら語る《ひろしま》から、新作9点を展示。石内がとらえた複雑な美に個々人の物語を読み取る。


■表層/深層―「スカジャン」と《The Drowned》
桐生に居を移して間もなく石内は「スカジャン」と再会する。桐生に生まれて横須賀に育った石内にとってそれは、戦後史と個人史とが合致する瞬間だった。一方、「スカジャン」を撮り続けていた2019年、川崎市市民ミュージアム収蔵の石内作品《APARTMENT》《1899》は、台風による被災に遭う。壮絶な現実を直視した石内は、そこから新しい作品として《The Drowned》(2020-)を撮り発表した。近作両シリーズの往還にみる写真の表層と深層を考える。

 

  • ■展覧会情報
    石内 都「Step Through Time」
    会期:2024年8月10日(土)~12月15日(日)
    時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
    休廊日:月曜日
  • ※ただし8月12日、9月16日、23日、10月14日、11月4日は開館/8月13日(火)、9月17日(火)、24日(火)、11月5日(火)は休館
    会場:大川美術館
    住所:群馬県桐生市小曾根町3-69
    入館料:一般1000円、高大生600円、小中生300円
    ※障がい者手帳等をお持ちの方、および付き添いの方1名は50%割引。※65歳以上の方は20%割引。※小・中学生を同伴する保護者は2名まで50%割引。※毎月第一土曜日(桐生市内・桐生天満宮古民骨董市および買場紗綾市開催日)は入館料20%割引。※織物参考館“紫”入館券をお持ちの方は20%割引。※【リピーター割引】同じ企画展の会期中、チケット半券をご提示で2回目以降の入館料半額。※割引の併用は不可。

 

■関連トークイベント
(1)石内都によるオープニングトーク
日時:8月10日(土)14:00〜15:30 

定員:60名 

※申込受付開始:7月10日(水)


(2)伊藤比呂美(詩人)×石内都
日時:9月15日(日)14:00〜15: 30 

定員:60名 

※申込受付開始:8月15日(木)

 

(3)長島有里枝(写真家)×石内都
日時:10月19日(土)14:00〜15:30 

定員:60名 

※申込受付開始:9月19日(木)

 

(4)奈良美智(美術家)×石内都
日時:11月9日(土)14:00〜15:30  

定員:60名 

※申込受付開始:10月9日(水)

 

【申込先】

受付期間:10:00〜17:00(休館日を除く)

☎︎0277-46-3300

※いずれも各申込受付開始日より申込みが必要。各イベントとも入館料が必要。

※いずれも申込みは下記の期間内に電話にて連絡。なお、定員に達し次第締め切る。

 

【関連リンク】
http://okawamuseum.jp

展覧会概要

出展者 石内 都
会期 2024年8月10日(土)~12月15日(日)
会場名 大川美術館

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する