写真界の芥川賞といわれる “木村伊兵衛写真賞”の第1回の受賞者であり、日本を代表する写真家の一人である北井一夫が、船橋市に貴重なヴィンテージプリント約400点を寄贈した。また、これまで撮りためてきたフィルム約4,500本とベタ焼き(ネガを直接焼き付けたプリント)、使用していたカメラなども併せて寄贈した。
今回寄贈されるヴィンテージプリントは、横須賀基地の原子力艦の寄港阻止のデモを撮影したデビュー作『抵抗』(1965年)、成田空港建設に反対する三里塚の農民を取材した『三里塚』(1971年)、高度経済成長時代に取り残された農村の人々を写した代表作『村へ』(1974-1975年/木村伊兵衛写真賞授賞対象作品)など、北井が生涯をかけて撮りためた作品だ。
“ヴィンテージプリント”は、写真家が自身の作品としてネガフィルムから自ら手がけたものであり、今回寄贈した作品は、大変価値の高い唯一無二の芸術作品だ。市では80年代の船橋のまちの姿やそこに暮らす人々がありのままに記録された『フナバシストーリー』(1989年)など収蔵していた211点を併せ、今回の寄贈により600点以上の北井のヴィンテージプリントを収蔵することになる。
特に、写真界で高く評価されている多くの作品のヴィンテージプリントやフィルムなど一式を共に収蔵するケースは非常に少なく、市としても大切に管理しながら市だけでなく、日本さらには世界の写真文化の発展に役立てていく考えだそうだ。
なお、北井は今年、北海道東川町が開催する第40回「写真の町」東川賞で飛彈野数右衛門賞を受賞され、8月3、4日に行われる授賞式の報告も贈呈式当日に頂く。
- 日 時:令和6(2024)年8月8日(木)14:00~
場 所:船橋市役所9階 第1応接室
出席者:北井 一夫 、船橋市長 松戸 徹、船橋市教育委員会教育長 松本 淳
内 容:ヴィンテージプリント等、作品資料一式の受贈および感謝状の贈呈
- ■プロフィール
北井 一夫
1944年旧満州鞍山生まれ、日本大学芸術学部写真学科中退。
写真集『抵抗』『三里塚』『村へ』『いつか見た風景』『フナバシストーリー』『1990年代北京』など独特な視座と柔軟な感性による写真作品がある。
1972年に日本写真協会新人賞、1976年第1回木村伊兵衛写真賞、2013年日本写真協会作家賞を受賞。各種印刷媒体に多数の作品を発表。
時代を捉えた写真集の刊行、展覧会の開催が続き、最近では、2013年12月、令和5年度船橋市所蔵作品展「フナバシストーリー 北井一夫」、2024年5月~7月7日には、新潟県の南魚沼市池田記念美術館にて、大規模な展覧会「北井一夫 写真の旅人」を開催。
船橋市には1971年に移り住み、市写真連盟の立ち上げに尽力。船橋の写真文化の振興を図る市写真展の審査員を当初から務める。
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