岩根愛『COHO COME HOME』がbookshop Mより刊行された。
- ふくらんだ 先端から、やがて一本の細い流れが溢れ出す。
寄せては返す満潮の波は次第に引き込み合うように近づき、ついに堰き止められていた川の先端が海へと決壊した。
その瞬間、干潟に溜まっていた水が一斉に海へと向かっていく。
見たことのないような 渦が生まれ、消えて、波へ、海へと引き込まれていった。
生き物のようなうねりがあちこちへと這いまわり、やがて一時間ほどで渦は消える。ずっとそこにあったかのように川は海へ注ぎ、大きく、太くなっていった。
私はいま、再会したマトールの河口に立つ。
新しい流れが、私の内でもいま、開いたところだ。- (作家ステートメントより)
■プロフィール
岩根愛(いわね・あい)
1991年単身渡米、ペトロリアハイスクールに留学し、オフグリッド、自給自足の暮らしの中で学ぶ。帰国後、1996年より写真家として活動を始める。2006年よりハワイ移民を通じたハワイと福島の関わりをテーマに制作を続け、福島県三春町にも拠点を構える。2018 年、『KIPUKA』(青幻舎)を上梓、第44回木村伊兵衛写真賞、第44回伊奈信男賞受賞。ドキュメンタリー映画『盆唄』(中江裕司監督作品、2018年テレコムスタッフ)を企画、アソシエイト・プロデューサーを務める。 2020年、「あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17」(東京都写真美術館)に「あたらしい川」を出展、作品集『A NEW RIVER』(bookshop M)上梓。2021年、第37回写真の町東川賞新人作家賞受賞。著作に『キプカへの旅』(太田出版)、『ハワイ島のボンダンス』(福音館書店)。
- 岩根 愛『COHO COME HOME』
出版社:bookshop M- 発行年:2024
- 写真・言葉:岩根愛
編集・造本設計:町口覚
仕様:168×237mm、並製本・糸中綴じ、32ページ、写真点数33点
【関連リンク】
https://bookshopm.base.ec
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