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清里フォトアートミュージアムでロバート・フランク生誕100周年記念展「もう一度、写真の話をしないか。フランクと同時代の写真家たち」が開催

2024/07/18

清里フォトアートミュージアムでロバート・フランク生誕100周年記念展「もう一度、写真の話をしないか。フランクと同時代の写真家たち」が開催される。
 
ロバート・フランクの出現は、1950年代の写真界に衝撃を与えた。1924年に生まれたロバート・フランクは、故郷のスイスで写真の基礎を学び、写真家としてのキャリアをスタートしたが、1947年頃から、街中で私的に撮影する、いわゆるストリート・フォトグラフィーを手掛けるようになった。とりわけ、アメリカ大陸を横断して各地を撮影し、1959年に米国で出版された『アメリカ人』が大きな評判を呼び、写真家としての名前を不動のものにした。
 
『アメリカ人』、そして当時その他の地で撮影されたものも含め、フランクの作品は詩的です。それまでのドキュメンタリー写真の多くが、プリントの質、コンポジションやフレームといった、物体としての写真の向上を目指したのに対し、フランクは作品に自身の直感的な感情を移入した。そして私的なつぶやきの層を上重ねして、一見殺風景に見える瞬間を人間味のある情景に変容させた。写真家であると同時に詩人であったことにより、フランクの作品が見る者の心を動かした。その作風は新たな表現手段として、写真史に刻まれることとなった。
 
1995年の開館当初より、清里フォトアートミュージアムでは、35歳になるまでに撮影された、国内外の写真家による優れた作品を収集してきた。フランクの初期作品も、撮影当時に制作されたヴィンテージプリントを収蔵しており、2019年には氏の信頼のもと大規模な展覧会を開催したが、会期中に氏の訃報が入るという巡り合わせがあった。
 
2024年は、ロバート・フランク生誕100周年という節目を迎える年にあたる。今回は、フランクと同時代に国内外の作家20名が撮影した作品とともに、改めて氏の作品を展示する。日本、アメリカ、ヨーロッパで当時撮影された作品を並列し、写真史における1950年代を再考察すると同時に、フランクが写真界にもたらした大きなうねりを感じてもらい、その生誕100周年を祝福して頂く機会となることを願う。

 

また「フランクと同時代の写真家たち」も同時開催される。

 

今から約190年前に発明された写真という技術は、時代とともに進化し、様々な分野で開花した。なかでも、写真に備わる、記録・伝達といった機能を活かしたドキュメンタリーは、小型カメラの発展に伴い、20世紀に入って多様な形状で進展を続けた。それまでは客観性や社会性、ヒューマニズムが重要視されていたジャーナリスティックな作風から、次第に個性が尊重される時代となっていきた。同じ1950年代に撮影された様々なドキュメンタリー作品を並列することによって、その変遷を辿る。展示作家数20名、展示数70点。

 

■見どころと時代背景
【ウィリアム・クラインによる「東京」】
フランクと並びドキュメンタリー写真に新しい風を吹き込んだと言われるウィリアム・クライン。当時アメリカではヨーロッパ人の活躍が多かった中、ニューヨーク生まれのクラインは、パリを拠点に活動した。1961年撮影の代表作とも言える「東京」から20点を展示する。
 
【写真家の活躍の場は、当時ヨーロッパだった】
フランクの代表的な写真集『アメリカ人』は、パリ在住の編集者、ロベール・デルピールにより出版された。当時デルピールは、アメリカで活動する写真家をほとんど知らず、エルスケン、イジス、ドアノー、ビショフなどの作品を扱っていた。デルピールによるフランクの最初の写真集は、同じスイス人ビショフとの共著だった。
 
【アメリカで活躍する海外の写真家たち】
フランクをはじめ、当時アメリカで活躍していた多くの写真家は、ヨーロッパからの移住者だった。警察無線を駆使して報道写真に徹した、ウクライナ生まれのウィージー、近代写真の父と呼ばれる、ハンガリー生まれのアンドレ・ケルテス、フランクと公私に渡る親交があったフランス生まれのエリオット・アーウィット。アウトサイダーの目で捉えた「アメリカ的なもの」が視覚化された。
 
【一方、アメリカ生まれの写真家たちは―】
アメリカで生まれて写真家を志した、鉄道の写真で知られるO. ウィンストン・リンク、W. ユージン・スミスのスパニッシュ・ヴィレッジやシュバイツァー博士のポートレイトなどの名作も必見。
 
【その頃、日本では―】
1953年、シカゴから石元泰博が帰国したことは、日本の写真界に転機をもたらすきっかけとなったのかもしれない。後に写真家による共同事務所となった「VIVO」を形成するメンバーを含む、戦後日本で頭角を現してきた写真家たちの貴重なオリジナルプリントも、同時に展示する。

 

  • ■展覧会情報
    ロバート・フランク生誕100周年記念展
    「もう一度、写真の話をしないか。フランクと同時代の写真家たち」
    会期:2024年7月6日(土)~9月29日(日)
    時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
    休廊日:会期中無休
    会場:清里フォトアートミュージアム
    住所:山梨県北杜市高根町清里3545-1222
  •  
  • 【同時開催】「フランクと同時代の写真家たち」
  • 出品作家一覧:
    ワーナー・ビショフ、ロベール・ドアノー、エド・ヴァン・デル・エルスケン、エリオット・アーウィット、細江英公、石元泰博、イジス、アンドレ・ケルテス、川田喜久治、ウィリアム・クライン、O. ウインストン・リンク、三木淳、奈良原一高、長野重一、デイヴィッド・シーモア“シム”、W. ユージン・スミス、田沼武能、東松照明、ウィージー、ダン・ワイナー

 

■関連イベント

2024年8月3日(土)「もう一度、写真の話をしないか。」

瀬戸正人(副館長)×山地裕子(当館学芸員)ギャラリー・トーク
司会:小川潤子(本展ディレクター)

2019年、作家本人と会いロバート・フランク展を構成した学芸員が語る 

 

2024年8月4日(日)「ロバート・フランクからの手紙」
太田菜穂子(Klee Inc.代表)https://www.klee.co.jp/statement/#biography

司会:小川潤子(本展ディレクター)
フランクと50通を超える手紙を往復した太田氏が人間フランクを語る。 

 

2024年9月7日(土)

【第一部】金村修(写真家)× タカザワケンジ(写真家、写真評論家)

『挑発する写真史』の著者2人がフランクを語る  

【第二部】プリント・ヴューイング(当館蔵のロバート・フランクの初期作品15点など)

【第三部】トヨダヒトシ 上映作品「An Elephant`s Tail ―ゾウノシッポ」

 

【イベント予約】
mail:kmopa@kmopa.com(tel:0551-48-5599)
日時、参加人数、代表者の名前と連絡先、メールアドレスを連絡。
※キャンセルの場合は、9月5日(木)16:00まで

 
【関連リンク】
https://www.kmopa.com/ロバート・フランク生誕100周年記念展「もう一度/

展覧会概要

出展者 ロバート・フランク
会期 2024年7月6日(土)~9月29日(日)
会場名 清里フォトアートミュージアム

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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