top 本と展示写真集紹介磯和璉子『いつだって興味津々』

磯和璉子『いつだって興味津々』

2024/08/16
髙橋義隆

磯和璉子著『いつだって興味津々』が刊行された。
 
20年間にわたりニューヨークを拠点にワイルドライフの映像プロデューサーとして活躍してきた著者によるフォトエッセイ集。著者の信条「いつだって興味津々」がそのまま文字になって跳ねているような文章と迫力ある写真が楽しい。朝日ジャーナルの記者・編集者として名を残す千本健一郎との往還から生まれた躍動感あふれる文章と帰国後に日本の自然に魅せられて撮り続けているたっぷりの写真が新鮮だ。今も著者は、各地の山里や渓谷を巡り、独自の視点で日本の自然を切り取り、写真展で発表している。

 

■目次
生きとし生ける/低く暮らし高く思う/猫になりたい/さくら革命/七年目の帰国/木を登る豚/路地と荒野/初体験/金とのつきあい方/十五夜お月さん/みんなと同じ/社会的時間/暑い冬/冬のロンドン/あの夏の日々/「たかが」/やってやって、やってみる/ヤラセ/辞書の効用/自由課題の課題を下さい/十一分九秒〇一/続・十一分九秒〇一/日曜はダメよ/母の願い/本より本屋さんが好き/鳩の筆圧/いのち/生きる情熱/難事/年賀状/レッスン・ワン/戦いすんで日が暮れて/ニューヨーク、ニューヨーク/ハッピー・バースデー/そして今

 

■前書きなど
新型コロナ感染者が初めて中国で確認されてからもうじき丸三年になる。瞬く間に世界に蔓延した新型コロナウィルスは、今も収まる気配がない。発生当初は不要不急の外出自粛を促されてステイホームの日々が続いた。その退屈しのぎに身辺整理をしていて見つけた黄ばんだ紙束がきっかけで、この本が生まれたことは、初章「生きとし生ける」に書いた通りだ。
外出自粛のおふれがなければ、クローゼットの奥に置かれたこの古い文章の束に気づくことはなかっただろう。ずっと後に見つけたとしても年老いて本にする気力は失せて、せいぜい日向で懐かしく読み返すか、あるいはゴミとして燃やされ煙と化していただろう。それを思うと新型コロナに感謝だが、被害の大きさを思うと「ありがとう」とは口が裂けても言えない。
逆に声を大にして感謝を伝えたいのが千本文章教室の千本健一郎先生だ。授業をサボってばかりの私がこれだけ書き続けられたのはひとえに千本先生のお蔭である。今回、達筆赤文字の判読至難な先生の講評も見つかったが、この本に入れられなかったのが残念だ。
先生が亡くなられてから三年、天に届くよう大きな声でこう叫びたい。
「先生、本ができましたよ。ありがとうございました!」

 

■プロフィール
磯和璉子(いそわ・れんこ)
三重県生まれ。1981年留学のため渡米。1983年から20年間にわたりニューヨークを拠点にワイルドライフを主とするドキュメンタリー映像の国際共同制作・配給に携わる。
2006年にリタイアして帰国。その後、写真を撮り始め、日本の山里の自然や渓谷の岩石などの写真展を定期的に開催している。

 

  • 磯和 璉子『いつだって興味津々』
  • 発行:静人舎
  • 発行日:2022年12月23日
  • 仕様:四六判(188×128×16mm)、250g 、160ページ、コンデックス装
    価格:1,800円(税別)

 

【関連リンク】
http://seijinsha-b.com

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