top 本と展示写真集紹介日本作例写真家協会『作例写真』

日本作例写真家協会『作例写真』

2024/07/29
髙橋義隆

日本作例写真家協会は写真家の飯田 鉄氏の呼びかけではじまった。「作例写真」をもって、これを「作品」として発表しようではないかと、当初は数名の同業者で話をしていただけだった。だが残念なことに、その具現化を前に飯田氏は亡くなってしまった。氏の遺志を継ぐ形で、2023年秋に会として発足したものである。
 
下記に2024年5月に行われた、日本作例写真家協会写真展「JSPA2024」のステートメントを転載する。

 

そもそも「作例写真」とは何か。それはカメラ雑誌やウェブサイトのレビュー記事、カメラメー カーのカタログ、プロモーション、イベント、あるいはワークショップ、写真講座などにおいて参 考のために提示する「お手本の写真」のことを意味する。
 
本写真展は、クライアントの求める作例写真を制作する際に、なんらかの理由で見送られた作品 を提示することを目的としている。今後永久に世に出ることはない写真作品を掘り起こしてみよ うと考えたのである。これらの日の目を見ない写真作品には、撮影者自身の心の底にある熱い想 いは残ったままだ。作例写真であろうとなかろうと、本来は写真を区別して考えることはない。
 
写真メディアの中では、口絵とされる作品ページから比べると作例写真は低く見られがちだ。そ の区別は一体どこからくるのか。これは長年の疑問であった。ここに集う7人の写真家は自身の写 真作品を制作しつつも、要求があればあらゆる条件下で「作例写真」を撮影することができる、 プロの「作例写真家集団」なのだ。「作例」と「作品」のあり方をあらためて考えてみることで、 今後の写真制作に対する考え方を見つめ直し、かつ自らの糧とするため、本写真展は我々作例写 真家の意思の上で企画された。つまり、ここで発表された作品群はクライアントやアートディレ クター、編集者からの縛りから解放された「作例写真」なのである。

 

日本作例写真家協会『作例写真』
写真・文:赤城耕一、宇佐見 健、岡嶋和幸、こばやしかをる、大門美奈、豊田慶記、新美敬子
発行日:2024年5月5日
編集・デザイン:日本作例写真家協会・大門美奈
発行人:赤城耕一
50ページ

 

【関連リンク】
https://coco-ps.jp/exhibition/2024/02/1646/

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