Taka Mayumi「ねこのしっぽと霊の首」が刊行された。Takaにとって5冊目の作品集となる。
コロナ禍の早朝、街並み、人々の営み、落ち葉、植物、動物や風景など、写真家の視線は自由に彷徨っているようだ。この作品集には猫も出てこないし、霊も映り込んでいない。それは主題のない風景、あるいは主役のいない物語とも解釈できる。写真の連なりの中に写真家の無邪気な好奇心が散りばめられているようだ。
Yahooニュースで まだ出だしは小さいニュースだった記憶がある。
2019年年末頃だったか、2020年初頭だったか?
あっという間に、世界を恐怖で覆い尽くした出来事は、
否応なく私たちの生活を一変させた。
仕事も止まり、最初の緊急事態宣言で、あの東京の街の機能は完全にストップさせられた。
緊急事態宣言始まって、すぐのあるひ
心が喜びに溢れてることに気がつく。
完全に自由なんだと。写真を初めてこのような心の持ち用が訪れたことは、初めてのことだった。
それからは、愛猫の起床と共に、朝ごはんを食べさせて、誰もいない空気がとても澄んでいる東京の街に繰り出した。
毎朝 欠かさず早朝数時間取りに出かけ、事務所に戻って現像分のプリントを夕方まで暗室に籠り、夜は夕食を妻に振る舞う生活が、緊急事態宣言の終わりまで続いたように思う。 初体験の幸せだけしかない、2ヶ月間だったと、記憶している。
『ねこのしっぽと霊の首』
5冊目になるが、その時の写真で覆い尽くされている
自分としては、過去 未来を含め一番幸せな時期の写真群で埋め尽くされている。
すぐに形にできていたため、1冊目ができるよりも先にほぼ完成していたはず。
そこからの1年数ヶ月の間の、世の中の出来事などで
少しだけ、悲しみを覆ったような気もする。
これから先の写真か人生で、本当の意味で自由になれた日々の記憶は綴れないかも知れない。
それが、良いものかどうかは今はわからないが、ここに記憶を残す意味でも、一つ本として形にできたことは、さらなる幸せにつながったと思う。
死ぬ間際に、この本も愛してやまない一冊として
記憶に刻まれれば、冥利に尽きる。
Taka Mayumi
TAKA MAYUM『ねこのしっぽと霊の首』
発行:私家版
発行年:2023年
デザイン:Rin Niijima(新島凛)
仕様:211×150mm、ハードカバー、96ページ
価格:6,820円(税込)
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