『プロヴォーク: 中平卓馬をめぐる50年目の日記』が刊行された。『週刊読書人』に連載(2019年4月5日号~2023年6月9日号)されていた「中平卓馬をめぐる50年目の日記」を加筆・削除・修正をして『プロヴォーク 中平卓馬をめぐる50年目の日記』と改題し書籍化した。
1960年代末から70年代後半にかけて、写真家、批評家として精力的に活動した中平卓馬。彼の撮る写真は「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれ、また雑誌に発表される文章も言葉を巧みに操り、煽情的で当時の若者の心情と共振し話題となった。そんな中平の存在は写真界にも大きなインパクトを与えた。そして1977年9月に急性アルコール中毒により入院。記憶喪失、言語障害を患うが、1980年代に再起し、2010年代初頭までは写真作品を発表し続け、2015年にその生涯を閉じた。
現在でもなお「激動」と表現されることの多い1960年代後半から1970年代初頭。総合雑誌『現代の眼』編集者時代に東松照明、寺山修司らの連載を担当していた中平は、同時代に活躍する表現者たちの仕事に触発され「写真家になる」ことを決意する。
やがて中平は多木浩二、岡田隆彦、高梨豊とともに、写真同人誌『プロヴォーク』を1968年に創刊(2号目からは森山大道も参加)。わずか500部が制作され、3号まで刊行されるも終焉を迎える。『プロヴォーク』はその希少性からいまやヨーロッパをはじめ世界中の写真に関心を持つ人々には伝説として語られている。
中平の作品発表の場は、『プロヴォーク』に留まらず、『現代の眼』『朝日ジャーナル』『アサヒグラフ』『デザイン』といった従来のカメラ雑誌とは異なる媒体を中心としていた。中平は言論の場とどのように関わり、どのように写真と向き合っていたのか。
著者である柳本尚規は、姉が『現代の眼』を発刊していた現代評論社に勤めていたことを縁に中平卓馬と知り合った。20代後半から30代前半当時の中平卓馬と行動を共にし、その姿を最も傍で見てきた一人である柳本が、伝説になる前の等身大の中平卓馬の姿を描く回想記である。
- 柳本尚規『プロヴォーク: 中平卓馬をめぐる50年目の日記』
- 出版社:読書人
発売日:2024年2月2日
仕様: 128×188mm、440ページ- 価格:3,850円(税込)
【関連リンク】
https://www.amazon.co.jp/プロヴォーク-中平卓馬をめぐる50年目の日記-柳本尚規/dp/4924671630
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