top 本と展示展覧会ピックアップ東京四谷のギャラリーヨクトで青木 渡写真展「二間間口の相貌」が開催

東京四谷のギャラリーヨクトで青木 渡写真展「二間間口の相貌」が開催

2024/03/28

青木 渡写真展「二間間口の相貌」©Wataru Aoki

 

東京四谷のギャラリーヨクトで青木 渡写真展「二間間口の相貌」が開催される。
 
設計者の信念がどのようにその建築に表現させているか自分なりに思考をめぐらせていた、と作者は語る。対象は時代を代表する歴史的建築物から新進気鋭の建築家の作品に至るまでジャンルは問わず、それぞれに追求された機能美、時代を反映したファサードに隔たりはないと思っている、という。
 
そして作者は街を歩きながら「著名な建築以外に興味が向いていないのではないか。建築はその時代の人々の生活の営みを反映した結晶とも言い換えることができる。だとしたら、一番大切な何かを見逃してはいないか」ということに気付いた。
 
そして続けてこう語る。

 

数年前、ポーランドのイラストレーター(マティウシュ・ウルバノヴィッチ)の作品集に出会った。彼は日本人が何の興味を感じない街の風景に「インスピレーションの爆発を引き起こす光景」だと言った。なるほど掲載されたイラストは本来私たちが何気なく見過ごす小さな店舗のファーサードを軽快で優しいタッチで表現している。ある意味、フィルターを通過したその絵は私の建築大好き思考の琴線に微かな傷を残した。だが、その時はまだ、それが建築に対する思考の狭さだと気づくことができなかった。
 
ふとある日、街の何気なく見過ごされる建物を写真表現できないかと思いついた。まずは店主に挨拶をする。ファインダー越しに見る店舗のファサードと快くうなづいてくれた店主の表情が重なり、勝手だが人差し指に少し責任を感じながらシャッターを切る。有名建築家がデザインしたものではないはずだ。だが、十分自分の心情を満たしてくれる。そのファーサードのデザインに現れている店主の思い、宿っている質素さ、風雨による経年劣化による趣が要因だろうか。

 

作者は自分の視点について反省し、「見過ごす罪の重さを痛感」した。

 

鉄筋コンクリートのビルが建ち並ぶ東京の片隅に名もない建築が健気に息づいていた。今、かろうじて目を向けることができた。ギリギリだった。少なくても近い将来、この時代を反映したこれらの建築を見ることができなくなるからだ。

 

なお、日本の建築は909mmを基本モジュールとして構成されているという。材料を規格化して効率を図るためだそうだ。この基本モジュールを半間(はんげん)と、作者は説明する。そのため「二間(にけん)はその4倍の3636mmになる。このテーマでは狭い敷地という意味で用いて」いるとのことだ。
 

  • ■展覧会情報
    青木 渡写真展「二間間口の相貌」
    会期:2024年4月2日(火)~4月14日(日)
    時間:13:00~19:00
    休廊日:月曜日
    会場:ギャラリーヨクト
    住所:東京都新宿区四谷4-10 ユニヴェールビル102


 

【関連リンク】
http://blog.livedoor.jp/galleryyocto/archives/39998582.html

展覧会概要

出展者 青木 渡
会期 2024年4月2日(火)~4月14日(日)
会場名 ギャラリーヨクト

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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