川口和之の「PROSPECTS」シリーズはその言葉の一義である《眺望》や《見通し》といった意味に加え、その場所の歴史性を踏まえながら、その《将来の姿》や《展望》を写真によって見出していく試みだそうだ。川口が参加するphotographers’ galleryで2017年から7回に亘って展覧し、写真業界の間で大きな反響と高い評価を得ているという。
本書は新型コロナウィルスが猛威をふるい、歴史の転換点となった3年間が過ぎて、日常が戻ってきたかに見える2023年の春から初冬にかけて歩いた日本各地の光景を記録した内容よなっている。
撮影の範囲を北海道から中国地方まで各地の多様な小都市に拡げ、江戸時代から明治・大正・昭和・平成を経て、かつて繁栄を謳歌した街が徐々に衰退し変貌していった様々な痕跡やその営みの澱を可視化している。過去に訪れた町を再び歩くことで、この3年間で変貌の速度がさらに増した様に見えてくる。日本の地方都市の変化は何処に行き着くのか、社会的な疑義も投げかけているレベルの高いドキュメントとなっている。
- 川口和之『PROSPECTS Vol.9』
- 発行:PHOTO STREET
- 発行月:2024年2月
- 仕様:A4判、並製、ソフトカバー、72頁
定価:2,750円(税込)
PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。