top 本と展示展覧会ピックアップ京都PURPLEで清水裕貴「岸」が開催

京都PURPLEで清水裕貴「岸」が開催

2024/03/02

清水裕貴「岸」©Yuki Shimizu

 

京都・PURPLEで清水裕貴「岸」が開催される。


2023年12月に赤々舎から刊行された写真集「岸」の展覧会となる。水辺の旅の写真、潮間帯に生きる架空の生物の話、水中から攫いにくる何者かとの会話、海水や黴で腐蝕させた写真で構成される。

 

水は人々の生活に不可欠なものだが、同時に大きな災いをもたらす存在でもある。人は時に川を神に見立てて、海に怪物の影を見つけ、湖の水面や白波の向こうに亡くなった人を幻視した。
私は十年に渡り水辺を旅して、身投げした姫が龍神になった川、生贄が捧げられた池、毒を浄化する湖、雨乞いのお祭り、水の喜びを歌う人たち、オアシスの街の跡、古代湖が干上がった砂漠などを撮影した。その傍ら、水神にまつわる伝承や、水害などの記録を集め、フィクションの世界を立ち上げて言葉を綴った。
それは風景の多層性を表現する試みである。
 
写真が描き出すのは、思いがけない他者の気配だ。
数秒前、数十年前、数百年前にいたかもしれない何者かの気配が、誰もいない草むらに生々しく立ち上がる。
私はそこにいる何者かの気配をよりはっきりと掴むために、撮影した場所を何度も歩き直し、言葉による風景の再構築を行った。言葉は私の心象を表現したものではなく、被写体の直接的な説明でもなく、風景を語り直したものだ。
異なる階層から語られた風景は波のようにぶつかり合い、そのはざまに新しく風景が立ち上がる。
 
風景に蓄積された過去、他者の声に耳を澄ます装置としての写真の可能性を探る。
新しい風景の表現方法。
 
清水裕貴

 

  • ■展覧会情報
    清水裕貴「岸」
    会期:2024年3月13日(水)~3月24日(日)
    時間:13:00〜20:00(土曜、日曜、祝日:11:00〜19:00)
    休廊日:月曜、火曜
    会場:PURPLE
    住所:京都市中京区式阿弥町122-1 式阿弥町ビル3階

 

■プロフィール
清水裕貴(しみず・ゆき)
写真家・小説家。2007年武蔵野美術大学映像学科卒業。土地の過去や伝説をリサーチしながら写真や物語を制作する。2011年1wallグランプリ受賞。2016年三木淳賞受賞。主な個展はPGI「微睡み硝子」(2022)、スタジオ35分/A'holic「よみがえりの川」(2023)、PURPLE「眠れば潮」(2023)など。千の葉芸術祭(2021)、千葉市美術館「とある美術館の夏休み」(2022)に参加。2023年、写真集『岸』(赤々舎)刊行。著作『ここは夜の水のほとり』(新潮社・2019)、『花盛りの椅子』(集英社・2022)、『海は地下室に眠る』(KADOKAWA・2023)。
  
【関連リンク】
https://purple-purple.com/exhibition/shimizu2024/

展覧会概要

出展者 清水裕貴
会期 2024年3月13日(水)~3月24日(日)
会場名 PURPLE

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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