top 本と展示写真集紹介善本喜一郎『東京RETROタイムスリップ1984-2023』

善本喜一郎『東京RETROタイムスリップ1984-2023』

2024/02/24
髙橋義隆

善本喜一郎は1960年生まれで東京都の出身。森山大道や深瀬昌久に学び、1983年に「平凡パンチ」の特約フォトグラファーとなり、雑誌や広告などで活躍している。本作『東京RETROタイムスリップ1984-2023』は、『2021』『2022』に続く第3弾となる。異例のヒット作である。
 
前2作同様に、ピンポイントで撮影された東京の1984年と現在を見開きで見ることができる体裁となっている。まず気になったのは、作者は1984年当時から東京の各所をめぐって撮影していたという事実だ。当時24歳であった作者は、都内をスナップしているわけだが、40年後に本になることを考えてはいなかったであろうと想像する。ライフワークとして撮影していたのかもしれないし、先生である森山大道や深瀬昌久の教えがあったのかもしれない。1984年であるからもちろんフィルムで撮影しており、ネガを管理し、撮影データを残していたということであろう。几帳面さを感じるが、これが結果的に40年後の写真集へと結実している。
 
善本と同じ写真学校で森山、深瀬の生徒だった岡本正史も2020年に『TOKYO 1985』(蒼穹舎)という写真を出版している。タイトルが示す通り1985年の東京を撮影した内容である。両者ともにスナップでありながら、各々の視点はやや異なる。同じ時期に同じ場所で写真を撮りながらもアプローチが異なっている。他の写真家との違いを比べるのもひとつの楽しみ方であろう。
 
東京の街の変化を楽しむのが本書の醍醐味だろうが、同時に過去の写真が未来に甦り、発見されることの面白さと不思議さが内包されているのが、写真の魅力だと再認識させられる1冊だ。

 

  • 善本喜一郎『東京RETROタイムスリップ1984-2023』
  • 発行:河出書房新社
  • 発売日:2023年12月26日
  • 仕様:単行本、A4変形、128ページ
    定価:2,000円(本体1,818円)

 

【関連リンク】
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309231457/

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する