top 本と展示展覧会ピックアップ東京・目黒のコミュニケーションギャラリーふげん社で、高橋克之「穴の底」が開催

東京・目黒のコミュニケーションギャラリーふげん社で、高橋克之「穴の底」が開催

2024/01/11

高橋克之「穴の底」©Katsuyuki Takahashi

 

東京・目黒のコミュニケーションギャラリーふげん社で高橋克之「穴の底」が開催される。
 
高橋克之は1967年福島県福島市生まれ・在住の油彩画家。1992年に福島大学教育学部卒業、1995年福島大学大学院修了。1993年に第4回リキテックス・ビエンナーレ大賞受賞、1994年と2003年にはVOCA展(上野の森美術館)に出品。2005年「New Sprits福島-物語をめぐって」(福島県立美術館)や、2016年・2017年には上野の森美術館大賞展(上野の森美術館)に出品するなど、現在は美術教師を務めながら、アーティスト活動を続けている。
 
高橋作品は、架空の「街」にあるホテル、病院、集会所、城、遺跡などを舞台に、登場人物が動き、次の場面へと移り変わっていくような、不条理で寓意性のある物語が展開するのが特徴だ。また、合成うるしを使用した、立体的で木の幹のような生命感のあるテクスチャーは、架空であるはずの物語が、鑑賞者の目の前にリアリスティックに立ち上がる。
 
本展では、新作「穴の底」から16点を展示する。「もし盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むであろう」という新約聖書(「マタイによる福音書」第15章14節)の一説が典拠となる、ブリューゲルの絵画作品「盲人の寓話」に着想を得て制作された。
 
本シリーズは、コロナ・ウィルスの感染拡大以降、ニュース番組でよく目にした「「これからどうなるのでしょうか」「それはですね」といったあるやりとり」を「盲人の寓話」が象徴しているように感じた高橋が、模写とアレンジを重ねていって辿り着いたものだ。
30年前から現在まで高橋が作り続けている「街」はこれまで平行方向に増築を繰り返してきましたが、今回は垂直、縦方向に場面が展開する。
 
有名な寓話のその続き、盲人や盲人の案内人が落ちた「穴の底」で繰り広げられる物語は、私たちの目にどう映るのだろうか? 時代や場所にとらわれない、誰もが吸い寄せられてしまうような奇譚の世界を堪能できそうだ。

 

■アーティスト・ステートメント
1.地上
濃い霧の中、盲人とガイドヘルパーが歩いていた
ガイドヘルパーは、盲人に情景を説明しながら歩いている
「向こうに、門が見えます」
門の手前まで来ると、「門の番人」と名乗る者が現れた
「門の奥へ、進んでもらえますか」
二人が門の奥へ進んでいくと、穴があった
穴の手前まで来ると、「穴の番人」と名乗る者が現れた
「穴の底へ、降りてもらえますか」

2.穴の底
二人が穴を降りていくと、塔があった
塔に入ると、高さ2mほどの顔の彫像があった
顔の彫像の手前まで来ると、彫像の口が開き始めた
口の中から小人が出てきた
口から出てきた小人は彫像の鼻をのぼっていき、額をのぼっていった
小人が彫像の上までのぼると、彫像はふわりと浮かび、上昇しはじめた
上昇がとまると、小人は大声で「いけない」と連呼しはじめた
盲人はそれを聞いて、塔の外へ出た
柵があった
柵の番人が現れ、極楽浜への道を案内された
二人は極楽浜に向かって、岩場を歩いていった
暗くなっていく岩場を歩いていくと、大きな穴があった
二人は、その穴に気づかず歩き続け、穴の底へ落ちていった
穴の底で顔をあげると、穴をのぞきこむ人の顔が、ぼんやり見えてきた
その顔は、盲人と同じだった
その者は話しはじめた
穴の底はあなたの沼
沼に入って穴に落ちる
そこから先はカシホテル

 

  • ■展覧会情報
    高橋克之「穴の底」
    会期:2024年1月5日(金)~1月21日(日)
    時間:火〜金12:00〜19:00、土・日12:00〜18:00
    休廊日:月曜日
    会場:コミュニケーションギャラリーふげん社
    住所:153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12


【関連リンク】
https://fugensha.jp/events/240105takahashi/

展覧会概要

出展者 高橋克之
会期 2024年1月5日(金)~1月21日(日)
会場名 コミュニケーションギャラリーふげん社

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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