竹之内は1982年東京生まれ。2008年日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真家として本格的に活動を始めた。都市の風景、花や草木などの自然、身の回りの何気ない日常、親しい友人たちなどを被写体とし、孤独との対峙や社会との距離の認識といった、見落とされがちな、個人が身につけている身振りを作品において浮かび上がらせることで、多様性、同一性とは何か、を問いかけ、独特の柔らかな視線と静かな観察眼で、等価に存在することの美しさを炙り出している。
本作では、縦糸と横糸や、物事の基礎(的な要素)などの意味を持つ『Warp and Woof』というタイトルのもと作品集としてまとめている(2023年11月にPGIでも展示を行った)。横方向へと展開する本作は、いままでの作品では削ぎ落とされていた、物事の基本的なあり方としての連続性が表されている。また、漠然と同じ場所や時間が並ぶだけではなく、いくつかの異なるシーンが入り込むことで、思い込みや錯覚、物事を見る視座の揺らぎを見せる。
展示の際は複数の音、映像を組み合わせた作品によって視覚だけではない体験として表現されていおり、写真という2次元の面ではなく、私を中心に取り巻く世界の全体を再構築している。
下記に展示のときに発表された作家によるステートメントを掲載する。
撮影でヒッピーの集落を訪れた際、自分が生きている場所での習慣やふるまい、生き方とは大きく異なる世界に、カルチャーショックを受けた。
深夜の山中で呆然としていた時、一緒にいた編集者が、「普段の自分とかけ離れた”際”の世界を知ると、自分自身の心の地図が広がったような気がしませんか」と話してくれ、その言葉を聞いて急に自分の視界がクリアになった気がした。
それから、いつも向けている自分の身の回りの景色だけでなく、それを構成しているもっと大きな世界にも目を向けようと、普段使っている望遠レンズでランドスケープを撮影してみた。
同じ場所から見た別の風景、違う場所にあるけど似ている風景を並べて、自分なりの心の地図を構成した。
竹之内祐幸
- 竹之内祐幸『Warp and Woof』
- 価格:7,950円
- 29.7 x 20.7cm
出版年:2023
出版社:FUJITA
【関連リンク】
https://www.pgi.ac/store/index.php?main_page=product_info&cPath=396_414_465_1080&products_id=2542
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