祖父母の影響で写真をはじめたという山上新平が写す、身近な人たちや目にした風景。深い内省のまなざしが外へと向けられたとき、それらの抽象度が一気に高まる。昼と夜、人と自然、内と外のあわいを捉えたようなスナップの多様さ、黒色のグラデーションの美しさに目を奪われる作品集となっている。
眼を閉じれば瞼が癒してくれる。
傷が増えるたびに写真も増えていけばそれでいい。
写真はいつも知らない世界に連れて行ってくれる。
いつも自分の内側は敏感でいたい。
それは、写真を自分の内側でやるためではない。
自分の外側で写真をやるために。感受するために。
全神経の感度を上げてゆけば、傷を受けてしまうこともある。
でも、それは大したことではない。
眼を閉じれば瞼が癒してくれる。
傷が増えるたびに写真も増えていけばそれでいい。
写真はいつも知らない世界に連れて行ってくれる。
思えば、半狂乱になりながらここまで写真をやってきたように思う。
徹底的に対峙する眼差しから始まって、
今は平凡で単一な時に眼差しが向かう。
それは、疲れて平均的な感度になったからではない。
単純な形態や姿ほど魂の類いがよく感じるから。
定着したはずの写真が動くような生きた写真。
そういう新たなフェーズに差し掛かっていればと願う。
― 山上新平
- 山上新平『Epiphany』
- 判型:257 × 182 mm
- 頁数:32頁
- 掲載作品:31点
- 製本:ソフトカバー
- 発行年:2023
- 言語:英語、日本語エディション900
- 価格:3,300円(税込)
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