top 本と展示写真集紹介大門美奈『SNAP SHOT』

大門美奈『SNAP SHOT』

2023/12/04

髙橋義隆

大門美奈は10代の頃より美術全般を学ぶ傍ら、写真を撮り始める。造園学を学んでいた大学時代に、卒業論文制作の為に訪れたスペイン・アンダルシア地方の街グラナダに出会い、以来数年に渡り繰り返し撮影している。現在も作家活動のほか、アパレルブランドとのコラボレーションシリーズを展開、カメラメーカー主催の講座やイベント等の議師の他、雑誌・WEBマガジンなどへ寄稿、コラムの連載など幅広い分野で活躍している。

本作『SNAP SHOT』はスペイン、ポルトガル、イタリアなど海外各地と日本でのスナップ作品で編まれている。2023年10月にKKAG、MONO GRAPHY Camera ＆Artでも展示されており、その際に寄稿されたテキストがあるが、大門の作品を見る上で参考となるステイトメントになっているので、作品鑑賞の参考に一読いただきたい。

毎日は制約のなかでの選択の連続である。そういった意味では 3:2 ないしなんらかの比率のフォーマットに何を入れ込むかというのは悩むべき事項かもしれないが、スナップショットというものに限れば偶然性が大きな比率を占めるものであり、シャッターを切るという行為は非常に身体的なものである。
目の前に現れる光景は頭の中で描いたイメージをあっさりと超えてくる。
身構えず、街と打ち解け、心を開けば撮るべきものは自ずとやってくるものであって、私はその何某かのものを反射的に撮っているだけにすぎない。「撮らずにいられない」その情動こそがスナップショットの魅力であり、私の写真の原動力なのだろう。
─ 大門美奈