『展覧会をつくる 吉村朗の眼実施記録』は、サブタイトルにあるように、2022年10月に開催された「吉村朗の眼」を取り上げて、企画から展示にいたるまでのプロセスを記録した、いわばメイキング本であると同時に、実際に展示をするにあたってのノウハウを記載した内容になっている。
まず展覧会とは何か? という概念的なところから始まり、本書で取り上げた吉村朗展を実施するにあたっての背景と全体概要を述べて、具体的なプロセスを作業毎にわけて解説していく。
吉村朗展の場合、本書の出版元である東京綜合写真専門学校が運営する会場「Gallery Forest」での開催ということもあり、この空間を前提にして展示を実施するにあたりにどういう工程があるかが述べられている。空間の大小によって作業も異なるだろうが、基本的なことは共通しているだろう。
観客の立場にすれば、展示では壁面に構成された作品をただ鑑賞するだけだが、実際に運営に携わる側にすれば、壁に掛けるまでにいくつものプロセスがあることが、本書を読むと伝わってくる。筆者のようになにも考えずに見てきた者としては、気付きの多い内容となっており反省しきりで、今後展示の見方が変わりそうである。
これから展示をしたいと考えている人や、展示行為とは何かをする場なのか? と概念的に考えたい人にも役に立ち、なおかつドキュメントとしても読める1冊となっている。
- 『展覧会をつくる 吉村朗の眼実施記録』鵜沢淑人
- 協力:大隈直人(さいはて社)
- 仕様:210×240mm/並製本/42ページ
- 発売日:2023年4月1日
価格:440円(税込)
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