top 本と展示写真集紹介橋本照嵩写真集『瞽女（完全版）』

橋本照嵩写真集『瞽女（完全版）』

2021/11/15

橋本照嵩の写真集『瞽女 GOZE（完全版）』がZEN FOTO GALLERYから刊行された。

『瞽女（完全版）』は、1972年の春から1973年の夏まで橋本照嵩が盲目の遊芸人・瞽女に密着し、旅を共にしながら撮影した作品である。

瞽女とは、近代では新潟県を中心に各地方を巡った盲目の女性旅芸人で、日中は農家を訪ね、門口で三味線を弾きながら短い唄を唄い、夜には長めの物語を弾き語り集まった村人に聴かせ、その対価として米や作物や金銭を得ていた。工業化と都市部の発展が進んだ1970年代前半、農業とそれに従事する人口が急激に減少し、その影響が瞽女の生活にも及んだ。そして、橋本照嵩がカメラに収めた3人の老いた瞽女が最後の存在となった。

自然豊かな土地の人々の暮らしと瞽女との関わりが非常に丁寧に描写されているこの作品は、今まで刊行物として『瞽女』（1974年のら社刊）、『瞽女の四季』（1984年音楽の友社刊）、『瞽女』（1988年アロン書房刊）があるが、現在はすべて絶版となっている。2019年に禅フォトギャラリーから出版した『瞽女アサヒグラフ復刻版』が国内外で好評を博したことがきっかけとなり、204ページに及ぶ『瞽女（完全版）』として新たに刊行された。1万3千点以上に及ぶカットから蒼穹舎代表・大田通貴氏が選出・編集し、そのネガを高精細スキャンすることでディテールとトーンを印刷で再現している。また、瞽女に密着した当時の2年間分の撮影日記とその英訳も付記している。

『瞽女（完全版）』
著者　橋本照嵩
発行　ZEN FOTO GALLERY
判型　200 × 200 mm
ページ数　204ページ
掲載作品　172点
製本　ハードカバー
発行年　2021年
言語　英語、日本語
部数　700部