殿村任香 「ゼィコードゥミーユカリ」©Hideka Tonomura
東京六本木の禅フォトギャラリーで殿村任香『ゼィコードゥミーユカリ』新装版刊行記念展が開催される。
昨年、パリのLa MEP ヨーロッパ写真美術館の企画展「Love Songs」へデビュー作の「母恋 ハハ・ラブ」を出品し、その後同美術館に作品が収蔵され大きな注目を浴びた殿村任香。
2013年、初の禅フォトギャラリーでの個展として殿村が「母恋 ハハ・ラブ」とともに発表し、二作目の写真集として刊行した作品がホステスとして過ごした新宿歌舞伎町を撮影したシリーズ「ゼィコードゥミーユカリ」。大きな話題を呼び絶版となって久しい本作を、オリジナル版未収録の作品と新たに書き下ろしたテキストを収録し、新装版として10年ぶりに刊行する。
また、写真集より選りすぐりの作品を展示し、会期最終日には写真家で雑誌『写真』(ふげん社)編集長・村上仁一を迎えて、トークイベントを開催する。
「ユカリ、俺らは心を切り売りすることが仕事だっぺ」
と、栃木出身の店長はニカっと笑っていつも私に言いました。
新宿歌舞伎町。
私はこの街を燃やしつくしたいほど憎悪し、幾度となくこの街にへどを吐きました。
私が知るこの街は人の欲望の掃溜であり、連夜の宴は狂気に満ちていました。
歌がうまくて笑顔がかわいいあの子が死にました。
彼女の死も宴の中に消えていき、鈍くなっていく感覚に順応することがこの街での生きていく術でした。
人の欲望は恐ろしく、その欲望に触れると後戻りはできないことを私は知りました。
だから私はその欲望に触れる寸前でシャッターを切ったのです。
見てはいけない狭い闇。
見なくて済むのならば、見なくていいものがあります。
しかし、鈍くなった感覚を取り戻させたのもまたその闇でした。
闇に写る一筋の光を私は信じました。
人が生きることの希望をそこに見たのです。
私は歌舞伎町、六本木、銀座、赤坂と街を変え20年間ホステスとして働きました。
どの街にもその街の“質”がありましたが、歌舞伎町ほどシャッターを切った街はありません。
欲望と希望は紙一重です。
私はこの街で生きる人々に出会い、生きて行くことの希望を知ったのです。
新宿歌舞伎町
血、性器
見てはいけない狭い闇
私はユカリと呼ばれた
「俺らは心を切り売りすることが仕事だっぺ」
—殿村任香
■展覧会情報
殿村任香 「ゼィコードゥミーユカリ」
会期:2023年10月27日(金)~11月18日(土)
時間:12:00〜19:00
休廊日:日曜日・月曜日・祝日
会場:禅フォトギャラリー
住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9ピラミデビル208号室
■トークイベント
登壇者:殿村任香、村上仁一 (写真家、雑誌『写真』編集人)
日時:2023年11月18日(土) 17:00〜18:30
※予約不要・無料
【関連リンク】
https://zen-foto.jp/jp/exhibition/hideka-tonomura-exhibition-celebrating-the-publication-of-“they-called-me-yukari”
出展者 | 殿村任香 |
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会期 | 2023年10月27日(金)~11月18日(土) |
会場名 | 禅フォトギャラリー |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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