top 本と展示写真集紹介落合陽一『晴れときどきライカ』

落合陽一『晴れときどきライカ』

2023/10/07
髙橋義隆

著者はあまりにも有名な方なので誰もが知っているだろうが、一応プロフィールを記載する。
 
1987年生まれ、メディアアーティスト。東京大学大学院学習情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。2010年ごろよりメディアアーティストとして活動。現在、筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長・准教授。JSTCRESTxDivercityプロジェクト研究代表、京都市立芸術大学客員教授、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授、金沢工芸大学局員名誉教授。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーを務める。
 
本書は『文學界』2019年11月号から2021年11月号まで連載した「風景論」に加筆してまとめられた。現在、10月29日までライカギャラリーで展示されており、下記のステートメントを寄せている。
 

晴れときどきライカ ── 質量への憧憬、ラーメンは風のように
 
古都は質量への憧憬が祈りとなって満ち溢れている.一杯のラーメンは宇宙そのもの,真言の形を成し,曼荼羅の如く私たちの周りに広がる.この質量への憧れは.ラーメンが身体に与える実質的な影響とは異なる形で存在し,我々の日常に深く根ざしている.
 
日々を通じて,私たちはデジタルネイチャーに生き,晴耕雨読・無為自然の精神を通じて物質と非物質の間を自由に行き来する.晴れた日にはライカを手に取り,ラーメンの物質性を探求する一方,雨の日にはデジタルの世界を探索し,風のように一見形を持たないものに祈りを捧げる.それは真言のように,その存在が確かでありながらも形を持たない質量への追求である.
 
展覧会のステートメントには表と裏が存在する.ここにはダダイズムの精神に満ちている.相互接続されたデジタルネイチャーの世界には形を持たず,一見すると意味を持たないように思えるが,数理的に確かに存在し,我々の周囲に影響を与える様々な試みが潜在空間に潜んでいる.それは風のように,ここにあり,またそこにある.時は廻りまた繰り返し,人はいつまでも進歩しない.その愛らしさに喜びを.日々進歩する計算機自然とともに共有したい.

 

この圧倒な才能を前にして、私のような凡人はただ沈黙せざるを得ない。 

 

落合陽一『晴れときどきライカ』

発行:文藝春秋
発売日:2023年8月28日
仕様:B5判変型・上製・160ページ
価格:5,500円(税込)


【関連リンク】
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917429

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