竹之内祐幸「Warp and Woof」 ©Hiroyuki Takenouchi
東京麻布のPGIで竹之内祐幸「Warp and Woof」が開催される。
竹之内祐幸は1982年東京生まれ、2008年日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真家として本格的に活動を始めた。
これまで『Liberty City』(P.G.I.)、『鴉』(P.G.I.)、『Things will get better over time』(Gallery Trax)、『第四の壁』(PGI)、『距離と深さ』(Studio Staff Only、PGI)、と作品を発表。都市の風景、花や草木などの自然、身の回りの何気ない日常、親しい友人たちなどを被写体とし、暗黙裡に共有されているルールに隠された物事の奥に潜む本質を露わにしようとしてきた。孤独との対峙や社会との距離の認識といった、見落とされがちな、個人が身につけている身振りを作品において浮かび上がらせることで、多様性、同一性とは何か、を問いかけ、独特の柔らかな視線と静かな観察眼で、等価に存在することの美しさを炙り出している。
本展では、縦糸と横糸や、物事の基礎(的な要素)などの意味を持つ『Warp and Woof』というタイトルのもと、新作を発表する。
自分自身の生活や習慣とは離れた場所で、そこに暮らす人々と出会い、その世界観にカルチャーショックを受けたことをきっかけに、作品において普段の自分の視点を広げる試みを始めた。
今までの作品では、生き物や人工、自然などのモチーフが、一つのポートレート、もしくはスナップ写真として切り取られていた。特に『第四の壁』では、人物や風景を縦位置の写真に収めることで、等価のポートレートとして発表したが、本作では作品を横に展開させることで「視点の広がりと、見落としていたかもしれない周辺の出来事、時間の流れ」を表現している。そうすることで、今までの作品では削ぎ落とされていた、物事の基本的なあり方としての連続性が表されている。また、漠然と同じ場所や時間が並ぶだけではなく、いくつかの異なるシーンが入り込むことで、思い込みや錯覚、物事を見る視座の揺らぎを見せ、それは同時に展示される、複数の音、映像を組み合わせた作品によって視覚だけではない体験として表現されている。
撮影でヒッピーの集落を訪れた際、自分が生きている場所での習慣やふるまい、生き方とは大きく異なる世界に、カルチャーショックを受けた。
深夜の山中で呆然としていた時、一緒にいた編集者が、「普段の自分とかけ離れた”際”の世界を知ると、自分自身の心の地図が広がったような気がしませんか」と話してくれ、その言葉を聞いて急に自分の視界がクリアになった気がした。
それから、いつも向けている自分の身の回りの景色だけでなく、それを構成しているもっと大きな世界にも目を向けようと、普段使っている望遠レンズでランドスケープを撮影してみた。
同じ場所から見た別の風景、違う場所にあるけど似ている風景を並べて、自分なりの心の地図を構成した。
竹之内祐幸
■展覧会情報
竹之内祐幸「Warp and Woof」
会期:2023年10月6日(金)~11月18日(土)
時間:11:00〜18:00
休廊日:日曜日、祝日
会場:PGI
住所:106-0044 東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F
■プロフィール
竹之内 祐幸(たけのうち ひろゆき)
1982年、東京生まれ。2008年に日本大学芸術学部写真学科を卒業し、同年第31回キヤノン写真新世紀佳作受賞。2009年、塩竈フォトフェスティバル特別賞受賞。
主な個展に『SEASONS』Foil Gallery(東京、2010年)、『鴉』PGI(東京、2015年)、『Things will get better over time』Gallery Trax(山梨)/Studio Staff Only(東京、2017年)、『第四の壁』PGI(東京、2017年)、『距離と深さ』Studio Staff Only/PGI(東京、2020年)
写真集に、『Things will get better over time』FUJITA(2017年)、『The Fourth Wall / 第四の壁』T&M Projects(2017年)、『距離と深さ』FUJITA(2020年)
音楽 Fumitake Tamura
音を聞いた時に感じるリズムという周期的な音のかたまりを、少しだけ間引いたりずらしていくことで、違和感と余白を含ませた音楽を制作する。リズムへの根源的な興味から、ヒップホップ、ジャズなどのアメリカでの共同制作多数。ロサンゼルスのラッパーBUSDRIVERとのプロジェクト《FR/BLCK/PR》のメンバーとして、アルバム制作、ロサンゼルス グリークシアターでのライブパフォーマンスを行う。2023年より、グラミー賞受賞エンジニアのDaddy Kevと音楽イベント《Scenario》を共同主催。2014年、2021年、さわひらき映像作品《Lenticular》(東京オペラシティギャラリー)音楽提供、5lackアルバム《KESHIKI》収録DNSプロデュースほか、アルバム、音源制作多数。
【関連リンク】
https://www.pgi.ac/exhibitions/8962
出展者 | 竹之内祐幸 |
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会期 | 2023年10月6日(金)~11月18日(土) |
会場名 | PGI |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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